デリー・ムンバイ産業大動脈構想(経済産業省の資料より)
デリー・ムンバイ産業大動脈構想(経済産業省の資料より)
[画像のクリックで拡大表示]
ダヘジ地区でのスマート・コミュニティ事業(経済産業省の資料より)
ダヘジ地区でのスマート・コミュニティ事業(経済産業省の資料より)
[画像のクリックで拡大表示]

 経済産業省は、日印政府が進める「デリー・ムンバイ産業大動脈構想」において、スマート・コミュニティに関する事業契約を2012年3月22日に結んだ(発表資料:PDF)。事業内容は、グジャラート州ダヘジで、日立製作所らの日系コンソーシアムが、アジア最大の海水淡水化事業に取り組むというもの。この事業は、デリー・ムンバイ構想における日印の官民協力によるインフラ整備の第1号案件となる。

 デリー・ムンバイ産業大動脈構想とは、インド北部のデリーと西部ムンバイの間およそ1500kmに貨物専用鉄道を敷設し、周辺に工業団地や物流基地、発電所、道路、港湾、住居、商業施設などのインフラを整備しようという日印共同の巨大プロジェクト。構想自体は2006年末、日本側からの提案により日印政府間で基本合意し、以降も検討が進められてきたが、これまで具体的な投資の動きはなかった。低質でも低価格なインフラを求める現地のニーズと、良質なインフラを売り込みたい日本側の目算が噛み合わず、事業化に時間がかかっている状況だという。

 グジャラート州は、ムンバイがあるマハーラーシュトラ州の北隣に位置している。グジャラート州にはスズキが2011年10月、新工場建設に向けた土地購入を発表しており(ニュースリリース)、今後、日系の部品メーカーの集積が進むなど、工業的な発展が予想される。今回の事業は、このグジャラート州のダヘジ地区で、処理能力33万6000トン/日の海水淡水化施設を整備するもの(日立のニュースリリース)。ダヘジの工業団地にはスズキなどが入居を予定しており、同地区では2015年までに31万トン/日の工業用水が不足すると予測される。今回の事業でこの水不足を補う計画だ。

 事業を担うコンソーシアムは、代表を務める日立と、伊藤忠、シンガポールの水処理企業であるHyflux Ltd.から成る。事業総額は460億円。運転開始は2015年を予定している。なお、今回の水処理事業を含めた同地区のスマート・コミュニティ事業には、京セラが太陽光発電の担い手として、北九州市がまちづくりなどの担い手として参画する予定だ。