(その3から続く)
最後はメイン基板の比較だ。新しいiPadのWi-Fiモデルのメイン基板を取り外すとき、思わぬ失敗をしてしまった。基板の下にあるコネクタを取り外そうと引っ張ったところ、コネクタがバラバラに分解してしまったのだ。ソケットにはまっているコネクタの構造を見ると、上からはめ込む構造になっているらしい。
そこで新しいiPadのWi-Fi+4Gモデルでは、ソケットとコネクタの間にマイナスドライバを差し込んで、上方向に慎重に外すようにした。一応、きれいに外れたが、外すときに無理な力がかかったのか、基板側のソケットが少しグラグラする。写真撮影をしていると、そのソケットも基板から取れてしまった。後でコネクタ・メーカーの技術者に聞いてみたところ「最近の携帯機器は使っているうちにコネクタが外れないようにロックがかかるようになっている。それを知らずに外そうとすると破損してしまうことが多い。自分も他社のコネクタのロックだとよく分からないことがある」とのことだった。
iPad 2と新しいiPadのメイン基板を比較すると、新しいiPadの方がやや小型化していた。最も大きな違いは、iPad 2の基板は片面実装だったのに対し、新しいiPadの基板は両面実装になっていたことだ。このため、iPad 2のメイン基板は裏ぶたに両面テープでがっちりと固定されていたのに対し、新しいiPadではそれほどガチガチには固定されていなかった。
新しいiPadのメイン基板の裏面には、DRAMとおぼしきLSIのパッケージが見られた。iPad 2ではプロセサ「A5」とDRAMがPoP(package on package)の形で実装されていた。新しいiPadでPoPを採用しなかったのは、プロセサ「A5X」の放熱のためではないかと推測される。新しいiPadでは、ベア・チップのA5Xの上に金属製のヒートシンクが取り付けられ、熱伝導シートを通して電磁雑音対策の金属カバーに熱を逃がすようになっている。
新しいiPadを分解して分かったのは、大容量の電池を搭載するスペースを確保するのが最優先されているということだった。メイン基板は小型化されてより端に寄せられ、すべての機能は筐体の枠に張り付くように少ないスペースで実装されていた。また、iPad 2では細線同軸ケーブルを使っていた箇所がフラット・ケーブルに置き換えられているなど、コストダウンの跡も見られた。