原子力損害賠償支援機構と東京電力は2012年3月21日、現在検討中のスマートメーターの通信機能の基本仕様を公開した。検討中の仕様に対して外部から広く意見を募るのが目的。同日より2012年4月20日まで意見を受け付ける(東京電力のプレスリリース(外部サイト))。

 今回示されたのは東京電力が考えるスマートメーターに求められる機能と、検討中の通信方式および無線マルチホップ型スマートメーターのシステム概要である。求められる機能としては、(1)30分ごとの検針値収集(再送制御を含む)、(2)センターからのスマートメーターの設定・制御、(3)検針員の持つ検針装置とのPeer to Peer通信、(4)ECHONET Liteに準拠した宅内通信機能、(5)通信傍受やなりすまし、データ改ざん、サービス妨害などを排除するセキュリティー、(6)センター側からのソフトウエア・アップデート――の六つがあるとした。

 通信方式としては、「無線マルチホップ通信」、「1:N無線通信」、「PLC方式」の三つの採用を検討しているとした。無線マルチホップ方式は比較的低出力の無線を用い、他のスマートメーターなどを経由してバケツリレーのようにデータを伝送する方式である。最終的にはセンター側とのゲートウエイとなる集線機(コンセントレーター)でデータを集める。1:Nは比較的高出力の無線を使う方式で、基地局との間で直接データをやり取りする。PLCは電力線を通信媒体として使う方式である。無線マルチホップ方式は一般の住宅エリア、1:N無線方式は山間部など建物が点在するエリア、PLC方式は高層の建物の密集エリアで利用することを想定している。また、1:N通信方式については他社が提供する広域の無線通信サービスを利用することを考えているという。

 無線マルチホップ型スマートメーターの仕様としては、920MHz帯を利用し、物理層としてIEEE802.15.4g、MAC層としてIEEE802.15.4eを利用することを検討しているが明らかになった。IEEE802.15.4g/4eは、NICTや東京ガス、富士電機などが主導して策定した規格で、「Wi-SUN Alliance」が普及を推進するものである(Tech-On!の関連記事)。このほか、伝送速度は100kビット/秒、電波の出力20mW以下、DC5V入力で最大1W動作、コンセントレータ1台あたり500台程度のスマートメーターを接続、といった仕様も示された。