米Apple社は2012年3月7日に新しい「iPad」を発表した(Tech-On!の関連記事)。2048×1536画素で解像度264ppiの高精細液晶パネル「Retinaディスプレイ」を搭載した製品だ。日経エレクトロニクス分解班は、発売日の同月16日に製品を早速入手した。
「ぱっと見は従来製品のiPad 2とほとんど同じだな」というのが分解班の第一印象である。厚さはiPad 2より0.6mm増えたが、iPad 2を横に並べて高さを比べない限り、分からない程度の差だ。重さも約50g増えているが、手に持ってみても、それほど重くなったという感じはしない。ボタンやスイッチ、コネクタもiPad 2から変わっていない。
肝心の液晶画面だが、入手前は「劇的にきれいになっているはず」と思っていた。しかし、実際にiPad 2と新しいiPadの画面を比べても、すぐにはあまり差が感じられない。少し肩透かしを食った感じだ。両者の差が分かるような高精細な画像サンプルをWebサイトで探してみたが、そうした画像はiPad 2でも十分きれいに見える。
それでも、画面に目を近づけて細かい点を見てみると、明確な差があった。アイコンの名前の文字は、iPad 2ではドットが見えるのに対し、新しいiPadではドットは感じられない。アイコン自体も新しいiPadの方が鮮明できれいだ。
iPad 2と新しいiPadの表示の差が最も如実に表れたのは、日本経済新聞電子版のiPad向けアプリだった。日本経済新聞の記事に書いてある通りである。画面全体に紙面を表示した場合、iPad 2では地の文の文字がつぶれて読めなくなってしまうが、新しいiPadでは文字がつぶれず表示される。もっとも、この大きさの文字を読むのは、若者ならいいが老眼ではつらい。結局、文章を読むときは拡大することになるので、実は利便性にはそれほど影響しないかもしれない。
もう一つ、差が感じられた例が標準アプリ「マップ」の航空写真である。建物を拡大してみると、明らかに新しいiPadの方が鮮明だった。ためしに、通りかかった社員に航空写真を表示した両者を見せて、「どちらが新しいiPadだと思うか」と尋ねてみたところ、iPad 2の方を「写真がややぼけた印象」、新しいiPadの方を「写真が鮮明」と答えた。事前情報がなくても判別できる程度には違うということだ。
使っていて気になったのは発熱である。新しいiPadは、使っているうちに、縦方向に持ったときの左下が暖かくなってくる。持てなくなるほど熱くなるわけではないが、iPad 2では発熱を感じることはほとんどなかったのとは対照的だ。
ちなみに、新しいiPadは通信方式としてLTEに対応しているのも特徴だ(この製品のLTEは、日本では今のところ使用不可)。そこで今回は、「Wi-Fiモデル」に加えて「Wi-Fi+4Gモデル」も入手した。両者を分解して比較する予定である。
(その2に続く)