市場規模の推移、シード・プランニングのリリースから。
市場規模の推移、シード・プランニングのリリースから。
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 市場調査・コンサルティングを手掛けるシード・プランニングは、国内のモバイルヘルスケア・サービスに関する調査を実施、2016年の市場規模は800億円になるという結果を発表した。同社は、2011年における同分野の市場規模を275億円と推定しており、5年間で約3倍の規模に拡大するという試算である。調査は、2011年11月~2012年1月の期間に、通信キャリアやサービス事業者、メーカーに対するヒアリングなどによって実施した。

 シード・プランニングはまず、モバイルヘルスケア・サービスは(1)健康、(2)医療、(3)見守り、の3分野に分類できると位置付ける。

 (1)の健康分野は、2011年に約175億円の規模だったとする。エムティーアイの「ルナルナ」やKDDIの「au smart sports」、NTTドコモの「iBodymo」が代表的なサービスで、それぞれ100万人以上の会員を獲得している。スマートフォンやタブレット端末の普及によって、従来のキャリア課金型以外のビジネスモデルも増加しているとする。

 今後、政府が進める「どこでもMY病院」構想の実現にともなう「電子お薬手帳」や、疾病管理に関するデータ蓄積サービスの登場も予測され、2016年には約400億円の規模になると推測する。

 (2)の医療分野は、2011年に約5億円の規模だったとする。医療機関における電子カルテ導入などは進んでいるが、無線通信を活用したシステム、サービスは実証実験レベルにとどまっており、現状では本格的なビジネスに至っていないと位置付ける。

 今後、同分野を成長させる社会的要因としてシード・プランニングは、医療機関におけるスマートフォンやタブレット端末の導入、政府が進める「シームレスな地域医療連携の実現」による医療圏を超えた連携、医療・介護の枠を超えた情報の共有、疾病の悪化抑制に対するインセンティブ付与などが考えられるとする。2016年には約250億円になると推測する。

 (3)の見守り分野は、2011年に約95億円の規模だったとする。現状では、自治体の予算を活用したサービスが民間に移行、セコムの「ココセコム」など携帯モジュール搭載の専用端末やモバイル端末を活用したWebサービスが増加、といった動きがあると位置付ける。2016年には約150億円の市場に成長すると推測する。