近距離無線の標準化を進める米IEEEの802.15部会は、人体の周辺に配置した各種のセンサ/デバイスで構築する近距離無線ネットワーク「IEEE 802.15.6」を正式承認した。「BAN(body area network)」と呼ぶ通信方式である。BANの標準化に向けた議論は2007年に始まっており、約5年を経てようやく標準化作業が完了した。

 近距離無線としては「PAN(personal area network)」という概念が既に存在するが、BANはさらに伝送距離を短くして、人体周辺に限定したものを指す。主に、医療/ヘルスケア分野への応用が見込まれている他、音楽コンテンツを携帯型プレーヤーとワイヤレス・ヘッドホンなど身の回りの携帯機器間でやりとりするなどの用途も想定される。

 IEEE802.15.6の物理層は、複数の無線方式で構成される。具体的には、400MHz帯から2.4GHz帯までの周波数を用いた狭帯域通信、インパルス方式のUWBを利用した超広帯域通信、人体を信号の伝送媒体として用いる人体通信である。

BANの概要(日経エレクトロニクス2011年6月27日号から)
BANの概要(日経エレクトロニクス2011年6月27日号から)
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