MIPI AllianceのChairmanであるJoel Huloux氏
MIPI AllianceのChairmanであるJoel Huloux氏
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MIPIの採用がさらに拡大すると予測する
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MIPIが策定、もしくは策定中の仕様をマッピングした図
MIPIが策定、もしくは策定中の仕様をマッピングした図
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 スマートフォンなど携帯機器の内部インタフェース仕様を策定する業界団体「MIPI Alliance」の議長であるJoel Huloux氏(スイスST-Ericsson社)は、Mobile World Congress 2012において日経エレクトロニクスのインタビューに応じ、MIPIの最近の活動状況について明らかにした。

 Huloux氏によれば、MIPI Allianceの会員企業は増加途上にあり、「2012年2月末現在で236社に達している」(Huloux氏)という。「スマートフォンの端末メーカーから、アプリケーション・プロセサのメーカー、さらに各ブロックの部品メーカーまで、大手企業はほとんど加盟している」(Huloux氏)。1本の信号線で高速データ通信が可能なMIPIのコンセプトが、携帯機器内のさまざまなブロックに取り組む企業に受けたためと分析している。MIPIが策定したインタフェース仕様を採用する機器の数は、「2010年に7億台に達しており、2015年には62億台にまで広がる」(Huloux氏)と予測している。

 MIPIはこれまでに、プロセサとカメラを接続するインタフェースである「CSI」や、プロセサとディスプレイを接続する「DSI/DPI」、ベースバンド処理LSIとRFトランシーバICを接続する「DigRF」などのチップ間インタフェース仕様を、それぞれの作業部会に分かれて作成してきた。このほかJEDECやUSB-IFなど、外部団体とも協力して仕様をまとめている。今回のMWCでは、MIPIの各作業部会の活動を1枚の絵にマッピングしたボードを表示しながら、携帯機器内部でMIPIを適用する分野が広がっていることを誇示した。

 さらに、従来主要だったCSIやDSIに加えて、2次電池とプロセサ間を接続して電池を制御するためのインタフェースである「BIF(Battery Interface)」や、RF回路のパワー・アンプに印加する電源電圧を、信号振幅に追随して動的に制御する技術「エンベロープ・トラッキング」を利用するためのインタフェースを新たに策定していることをアピールした(Tech-On!の関連記事)。

 このほか「LLI(Low Latency Interface)」と呼ぶ広帯域のインタフェースを用意していることにも言及した。LLIは2.9GHz~6GHzなどで動作する信号線仕様で、遅延時間が少ないという特徴がある。これをベースバンド処理LSIとアプリケーション・プロセサの接続などに利用するという。これにより、ベースバンド処理LSI内部にメモリを集積せずとも、外部にあるアプリケーション・プロセサなどのメモリを、このLLIを使って読みだすというもの。これによって「ベースバンド処理LSIのコスト低減に寄与する」(Huloux氏)。

 Huloux氏によれば、将来的にはMIPIの新たな物理層である「M-PHY」の利用が、カメラやディスプレイ、RFなど各セクションのインタフェースで進むという。M-PHYには光伝送仕様も規定されているが、Huloux氏は「いくつかの部分で、今後光伝送の導入も始まる可能性がある」と、MIPIの物理層高速化において、今後光伝送の導入が始まる可能性を示唆していた。