図1 Kinect本体の後方部
図1 Kinect本体の後方部
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図2 メイン基板を外す
図2 メイン基板を外す
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図3 メイン基板の裏側。ナスカの地上絵がある
図3 メイン基板の裏側。ナスカの地上絵がある
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前回

 まもなく、Windows PC版Kinectのメイン基板を外せそうだ。Kinect本体の後方部で、メイン基板がつながっている(図1)。Kinectを支える台座部分とメイン基板が接続されている。台座部分には,本体部分を上下に動かすモーターが搭載されている。台座部分とメイン基板の接続部は2カ所ある。1カ所目は、金属部品を利用している部分である。台座部分から出ているケーブルを固定する役割と、モーター側からメイン基板側へとグラウンドを落とす役割を担っているようだ。

 2箇所目の接続部は、モーター部分と接続しているコネクタ部分である。メイン基板側から、モーターの制御信号などを送信しているようだ。

 2箇所の接続部や、他のケーブル類を外すと、ついに筐体からメイン基板を切り離すことができた(図2)。

地上絵


 各種部品が実装されている、メイン基板の裏側を見る。するとそこには、白い線で描かれた絵があった。それは、ナスカの地上絵のハチドリではないか(図3)。南米ペルーに行ったことのある分解班には、懐かしい光景である(関連ブログ)。

 が、なぜメイン基板上にハチドリの絵があるのか、理由がさっぱり分からない。ハチドリからいったん離れ、メイン基板上にある放熱フィンを外す。その下には、米Marvell社製の10mm角の大型チップが隠れていた。おそらく、チルト角制御などを含めたKinect全体の制御を担っているようだ。このチップは、初期のXbox 360版と同じである。

 メイン基板中央部には、PrimeSense社のSoC「PS1080」が搭載されている。PS1080は,赤外光カメラで検出したデータから,フレームごとに深さ情報を算出するという。この深さ情報とともに,可視光カメラやマイクから得られたデータを,USB 2.0のインタフェースを用いてホスト側に伝送する機能を持つ。

 初期のXbox 360版もPS1080を搭載していた。ただ、パッケージに刻印された文字は、異なっている。この他のチップ類も、初期のXbox 360版とあまり大差がなさそうだ。つまり、初期のXbox 360版では3枚の基板に分かれていたものを、メイン基板1枚に集約した格好である。

このメイン基板を見たある技術者は、「複数の基板を利用する場合は、層数の多い高価な基板の面積をなるべく縮小し、多層基板が不要な部品類は安価な1~2層の基板などに実装して、低コスト化を図る。ただし、基板が多くなる分、組み立て工数が増えてしまう。一方、メイン基板1枚に集約したほうが組み立て工数は減るものの、多層基板の利用面積が増える。どちらがコスト削減に向くかは内部構造によるが、Kinectの場合、メイン基板を1枚にした方がコスト削減できると思う。初期のXbox 360版ではあまりに複雑な内部構造で、組み立てコストが非常に高いと考えられるからだ」とみる。

 続いて、残った部材類を見てみる。