モバイル関連機器や技術の展示会「Mobile World Congress 2012(MWC)」で米グーグルは2012年2月28日(現地時間)、Android 4.0(コード名はIce Cream Sandwich)向けのWebブラウザー「Chrome」を発表した。エリック・シュミット会長の基調講演の冒頭にデモを交えながら機能を紹介した。Webページの先読み機能や、開いている複数のWebページを簡単に切り替えできる機能などを搭載して使い勝手を高めた。同日にベータ版を複数の国で配信開始した。
Android用のChromeは、動作が高速であること、操作がシンプルで簡単であることを重視して開発したとする。高速という点では、Webページの先読み機能を搭載した。Googleの検索サービスを使うと、検索結果の一覧が現れる。この時点でデータの先読みが始まっており、項目をクリックすると瞬時にリンク先のページが開く。
スマートフォン上でパソコン用のWebページを表示すると、文字が小さすぎるためにクリックの操作がしづらいことがある。Android用のChromeではリンク先を示す文字を拡大表示する機能を搭載した。このほか、開いているWebページが複数ある場合、各ページのタブを並べてスクロールさせながら選択できる機能もある。タブを横に弾くと、そのページを閉じる操作となる。
パソコン版のChromeとWebページの表示履歴を共有できる機能も備えた。例えば、自宅のパソコン上のChromeでWebページを開いたあとで外出をしたとする。その後、Android端末上でChromeを開き、設定メニューから自宅のパソコンを指定することで、先ほどまで見ていたページをAndroid上で閲覧できる。その状態で「戻る」を押すとパソコン上で外出前に見ていたWebページが表示できる。
発表後に講演を続けたエリック会長は、スマートフォンの普及に象徴されるように情報化の恩恵を受けられる人が増える一方、途上国などで自由に情報に対してアクセスできていない地域があると説明。「技術の発展によりあらゆる地域をアクセス可能とすれば、全てのコミュニティーが対等になる。そのための革新を我々が進めていくべきだ」と世界中から集まった通信関連業界の人々に呼びかけた。
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