Nokia社の携帯電話機向け電池パックに、BIF準拠のICを組み込んだ試作品を展示した
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評価システム全体の様子
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正規の電池が組み込まれると「Success」の表示が出る
正規の電池が組み込まれると「Success」の表示が出る
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偽物電池(形状はNokia社の電池と同じでも、認証を経ていないもの)が使われると「Fail」と表示されていた
偽物電池(形状はNokia社の電池と同じでも、認証を経ていないもの)が使われると「Fail」と表示されていた
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 携帯機器のチップ間インタフェースの仕様策定を進める「MIPI(Mobile Industry Processor Interface)Alliance」は、携帯機器の2次電池とアプリケーション・プロセサなどの間で情報のやりとりを行うためのインタフェース仕様「BIF(Battery Interface)」の標準規格を策定した。MIPIの会場ブースでは、ドイツInfineon Technologies社が、BIF仕様に準拠したセキュリティー認証ICを用い、動作を実演している。

 BIFは、プロセサ側から電池のセキュリティー認証情報や温度センサの情報などにアクセスするための専用インタフェース。データ伝送速度は2k~250kビット/秒で、1端子でシリアル通信を行う。これを使うことで、携帯電話機などで問題となっている「偽物電池」を特定し、プロセサ側から使用を制限するといった措置を取れる。同様のセキュリティー認証用のICは既に製品化されていたが、これまでは異なるプロセサ・メーカーに応じて、インタフェースをカスタムで用意していた。今回MIPIが標準インタフェースを作ったことで、異なるアプリケーション・プロセサのメーカーでも同じ制御ICやインタフェースを利用できるようになる。

 MWCの会場ブースにおけるInfineon社の実演は、同社のセキュリティー認証用のIC「ORIGA 2」を用いたもの。同社独自の暗号化方式を使いながら、物理層にはMIPIのBIF準拠のインタフェースを用いることで、さまざまなメーカーのプロセサと共用できる。実演では、フィンランドNokia社の携帯電話向けLiイオン2次電池にORIGA 2を組み込んで、プロセサ側からセキュリティー認証したり、電池の温度状況などを把握したりできることを示した。一方で、Nokia社の認証を経ていない「偽物電池」を装填すると、セキュリティー認証が通らないという。BIFによって電池の温度情報などを取得できるため、プロセサ側からの適切な充放電管理などにも応用できるとしている。

 MIPI Allianceは今後、BIFの活用を電池メーカーやACアダプタのメーカーなどに働き掛けていく考えである。Infineon社によれば、同社のORIGAシリーズは既に、日本や韓国の電池メーカーが採用しているという。