撮影用のセット
撮影用のセット
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HDRなし(左)とHDRあり(右)の比較。セットと撮影した場合、通常、白い部分が白飛びしてしまう
HDRなし(左)とHDRあり(右)の比較。セットと撮影した場合、通常、白い部分が白飛びしてしまう
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 米Dolby Laboratories社は「Mobile World Congress 2012」(スペイン・バルセロナ市、2012年2月27日~3月1日)で、JPEGフォーマットを下位互換性を保ちながら、高画質化する技術を展示している。

 今回展示したのは、JPEGフォーマットに階調情報(ダイナミック・レンジ)を拡張した「JPEG HDR(high dynamic range)」と呼ばれる技術の一種である。従来のJPEGフォーマットに、16ビット~32ビットの階調情報を付加する。JPEGフォーマットを踏襲しているので、この方式に対応していないビューワでは従来のJPEGファイルとして扱える。

 従来のJPEGの階調情報は8ビット(256通り)である。このため、画像センサの階調である10~14ビット(1024~1万6384通り)や、多重露出によって撮影された画像からは間引いた形で保存されることになる。今回の技術は、この“間引き”をなくすものである。

 この方式で保存することで、例えば、JPEGであれば白飛びで真っ白に見えている部分や、暗くて真っ黒になっている部分を補正して、階調のある映像にできる。展示では、白飛びしている画像の部分をタップするとそこに露出が合った画像になる、といったデモや、画像を拡大するとそれに応じて表示されている部分に露出が合う、といったデモを行っていた。

 こうしたダイナミックレンジが広い画像は露出の異なる画像を複数枚合成することや、センサの情報を間引くことなく取り出すことで、作成する。MWCのデモは、露出の違う複数の画像を合成する際に、手ブレの影響や位置ズレを補正したり、移動物のゴーストを取り除く技術を持つモルフォと共同で実現した。このほか、プラットフォームのパートナーとして米Qualcomm社とも提携している。

 今回の技術は、今後、スマートフォンを開発している携帯電話機メーカーに対して採用を呼びかけていくという。