米Qualcomm Atheros Inc.は、 IEEE 802.11acに対応する通信用LSI「WCN3680」を発表した(ニュース・リリース1)。このLSIは、1ストリームの802.11acのほかにBluetoothやFM放送にも対応するコンボチップである。

 スマートフォンやタブレットPCを狙ったLSIで、Qualcomm Inc.のアプリケーション・プロセサである「Snapdragon S4 APQ8064」や「同MSM8960」のコンパニオン・チップとして使う。この組み合わせで最大433Mビット/秒のデータ・レートを実現できるという。今回のチップは、Qualcomm Atherosの802.11n対応の通信用LSI「WCN3660」とピン互換で、機器を802.11ac対応へと容易にアップ・グレード可能とする。

 Qualcomm AtherosはWCN3680のサンプル出荷を2012年の第2四半期に開始する予定である。また、同社は、このチップのデモンストレーションを2012年2月27日からスペインのバルセロナで開催の「MWC 2012」で行う。

 今回、WCN3680のほかに、今後、提供予定の802.11ac対応の通信用LSIも紹介している。例えば、スタンドアローンで使う、802.11ac/a/b/g/nとBluetoothのコンボチップとして、3ストリームの「QCA9860」と2ストリームの「QCA9862」を提供する。物理層の処理速度は1.3Gビット/秒である。さらに、民生機器向けの802.11ac/a/b/g/n対応の通信LSIで3ストリームの「QCA9880」と2ストリームの「QCA9882」、企業向けネットワーク向けの802.11ac/a/b/g/n対応の通信LSIで3ストリームの「QCA9890」と2ストリームの「QCA9892」もある。

 上記のQualcomm Atherosの発表とは別に、Qualcommはモデム製品のブランド名「Gobi」の適用範囲を広げると発表した(ニュース・リリース2)。これまでGobiは3GとLTEモデムのブランドとして使ってきたが、今後はベースバンド処理LSIの「MDM」チップセットを含む、すべてのモデム製品に適用する。なお、Qualcommは2011年末時点で、累計2億5000万個以上のモデム・チップを出荷している。