「FGS-02A」(写真:古河機械金属)
「FGS-02A」(写真:古河機械金属)
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 古河機械金属は、自社開発の高密度シンチレータ結晶を用いた放射線(γ線)測定器「GAMMASPOTTER」シリーズの第2弾製品「FGS-02A」を発売する(ニュースリリース)。測定範囲を従来品の0.01~19.99から0.001~99.99へ広げるとともに、使用時間を従来の30時間から40時間へ延長した。

 γ線測定器はガイガー・ミュラー式や半導体式などの方式があるが、「精度はシンチレータ式が最も高く、安定している」(同社広報)という。シンチレータ式とは、シンチレータ(放射線に触れると発光する蛍光物質)の発光を半導体光検出器で電気信号に変換して数値化する手法。

 同社は従来、医療用にシンチレータ結晶の研究開発を進めてきた。この測定器にシンチレータとして採用したGAGG(ガドリニウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット)結晶は、東北大学の吉川彰教授、柳田健之准教授と共同開発したもの。結晶密度が高く放射線の検出効率が高いこと、潮解性がないため、他社製品に採用されているヨウ化セシウム(CsI)やヨウ化ナトリウム(NaI)に比べて水や湿気に強いことが特徴という。

 新製品は従来品と同様に、独自の温度補償回路と半導体光検出器を採用し、動作温度範囲-20℃~+50℃を確保した。測定モードは、従来の「リアルタイムモード」に加え、1分間の平均値を10秒ごとに表示する「アベレージモード」、タイマーで30秒、1分、5分間の平均値を選択表示する「タイマーモード」を用意した。タイマーモードではスタートから10秒後に自動で測定が始まる。その間にユーザーが測定器から離れられるため、人体による影響を小さくできるとする。

 使用時間は、単4形のアルカリ乾電池2本で40時間以上。大きさは、長さ151mm×幅60mm(持ち手部45mm)×厚さ23mm(ストラップ含まず)。重さは電池とストラップを含めて160gである。

 放射線の除染作業での使用を想定しており、2012年3月上旬から、自治体や企業向けに販売していく。オープン価格だが、実売想定価格は17万円前後。第1弾製品は2011年11月の発売から約200台を販売したが、目標には届かなかったという。新製品の販売目標について同社は「今回は現場の要望により応えられる製品になった。結晶の製造が難しいため、大幅な増産はできないが、除染現場の役に立ちたい」(同社広報)とする。