多値デジタル信号テスト向けドライバとコンパレータに関してアドバンテストが講演
アドバンテストは、開発を進めている多値デジタル信号テスト向けのドライバとコンパレータに関して、「VDEC D2Tシンポジウム 2012」(東京大学大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)が2012年2月10日に主催)で講演した。登壇したのは、同社の石田雅裕氏(ATEユニット開発本部 第5開発部 FTテクノロジー開発2課 課長)である。
同氏によれば、これまで、多値デジタル信号は長距離LANなど限られた分野でしか使われていなかった。最近は、状況が変わってきた。米Rambus, Inc.の4値デジタル・インタフェース「QRSL」(Tech-On!関連記事1)のような、多値のデジタル・インタフェースに注目が集まっているという。QRSLのようなメモリ周りだけではなく、広くシリアル・インタフェースが多値化するのを見込んで、今回のドライバやコンパレータの開発を進めているとした。
既存リソースで不可能ではないが・・・
既存の2値デジタル信号テスト向けのリソース(ハードウェア)を使って多値デジタル信号をテストするのは不可能ではない。例えば、多値信号をA-D変換器で離散化してからテストしたり、2値向けのドライバやコンパレータを複数使ってテストしたり、あるいはしきい値電圧を変えて2パス以上のテストを行うなどの方法があり得る。しかし、いずれも、ハードウェア量が大きかったり、テスト時間が大幅に延びるなどの副作用があり、量産テストでは現実的ではない。
そこでアドバンテストでは、リアルタイムに多値デジタル信号のテストを行うことを目指してR&Dを進めている。パターン・ジェネレータなど2値デジタル向けのテスト・モジュールがそのまま使える部分もあるが、多値デジタルDUT(device under test)に信号を印加するドライバと、DUTから戻ってきた信号を期待値と比較するコンパレータは新規開発が必要になる。
同社は開発した技術に関して、2011年9月に米国で行われた国際会議「ITC(International Test Conference) 2011」で発表している(Tech-On!関連記事2)。ドライバもコンパレータも、はじめから多値を扱うことを前提に開発することで、リアルタイム・テストを可能にしたり、ハードウェア量を抑えることを可能にした。例えば、多値ドライバは、電流源の電流を変えて信号レベルを変調するという。コンパレータはしきい値電圧を期待値パターンに応じて動的に変更することで、多値に対応させる。
入力雑音耐性もチェック可能
石田氏は今回の講演で、4値デジタル信号を対象にしたドライバやコンパレータの概要や、それらを使ったテスト・システムを紹介した。同氏らは、ドライバやコンパレータをハードウェアとして実装したボードを作成し、既存の計測器と組み合わせた4値デジタル信号対応のテスト・システムの試作も行っている。その試作システムを使って行った、16Gビット/秒の4値信号の生成結果や、入力信号に載った雑音耐性テスト向けに発生した信号、コンパレータで検出したレベル・エラーなどを見せた。
講演の終盤では、今回のドライバのコンパレータの応用先を紹介している。一つはデエンファシス信号のテストである。同氏が見せたのは、PCI Expressの例で、今回のドライバやコンパレータを使えば、デエンファシス信号を量産テストでもきちんとチェックできるようになるという。また、ミックスト・シグナルICの量産テストで行われるデジタル・テスト・リソースを使ったアナログ信号の簡易チェックの電圧精度が、今回のドライバやコンパレータの適用で上がるとした。












