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MicrosoftがARM版Windowsの詳細を公開、x86エミュレータは搭載せず

進藤 智則=日経エレクトロニクス
2012/02/10 17:38
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ARM版Windows(WOA)のスタート画面
ARM版Windows(WOA)のスタート画面
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WOAのデスクトップ環境の画面
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WOA版のExcelの画面
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「Windows Store」の画面
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 米Microsoft社は、2012年末に投入するとみられる次期Windows「Windows 8」のARM版について、詳細な情報を公開した(発表資料)。

 同社はARM版Windowsを「WOA(Windows On ARM)」と呼んでおり、これまで詳細な情報はほとんど明らかにしてこなかったが(関連記事)、今回、Windows 8の開発統括者であるSteven Sinofsky氏は、9000語にも及ぶ長文のブログ・ポストで、WOAの目指す方向性、各設計方針についての決断の経緯、今後の展開などについて解説した。

過去のソフト資産はWOAではサポートせず

 WOAについては、Windowsの過去のソフトウエア資産がどのような扱いになるのか注目されてきたが、今回の発表によりそれらは一切、WOAではサポートされないことが明らかになった。WOAで利用できるのは、Windows 8のために同社が新たに立ち上げるオンライン・ストア「Windows Store」経由のアプリケーションのみとなる。x86のエミュレーションや仮想化などの仕組みは設けない。

 原理的には、x86のエミュレーションや仮想化などの仕組みを用いればWindows向けの既存アプリケーションをWOAで動作させることは可能とみられるが、その場合、「電池駆動時間を受け入れがたいレベルまで低下させてしまう。さらに、マウスやキーボードといった従来型のパソコン環境も必要となってしまう」(Sinofsky氏)。このためWOAが想定するタブレット端末の利用シーンにそぐわないと判断した。

OfficeはWOAのデスクトップ環境向けに用意

 既存アプリケーションをそのままポーティングすることも認めない方針である。Windows 8では電池駆動時間を延ばすため、「Connected Standby」という新たな電力状態が定義されているが、既存アプリケーションはこの電力状態に対応しないためである。仮にConnected Standbyに対応しないまま、単純にこれらをWOAにポーティングしても「電池駆動時間が犠牲になってしまう」(Sinofsky 氏)としている。どうしても既存アプリケーションをWOAに移植したい場合は、x86版のWindows 8を用いるか、新たにWinRT APIを用いて書き直すことを推奨した。

 一部では、WOAではデスクトップ環境が提供されいないのではとの観測もあったが、これは明確に否定した。例えば、Officeの次世代版「Office 15」をWOAのデスクトップ環境向けに提供する。Word、Excel、PowerPoint、OneNoteが含まれる。WOA版のOffice 15は「単なる再コンパイルやポーティングではなく、製品の再構築に近い」としていることから、Officeについてはデスクトップ・アプリケーションでありながら、Windows 8のConnected Standbyに対応するよう書き直したとみられる。

 Windows 8ではConnected Standbyを導入したことから、WOAでは従来のハイバネーションやスタンバイは撤廃した。電源ボタンを押した場合、Connected Standby状態に遷移する。Connected Standby状態であっても、同状態に対応したアプリケーションであれば、メール受信などネットワークからの更新や通知を自動的に受け取れる(Tech-On!関連記事)。

WOAはx86版と同時投入

 WOAはx86版のWindowsのようにOS単品での販売はせず、ハードウエアにプリインストールした状態でのみ販売される。x86版と同時期に投入する予定である。WOAでは、米NVIDIA社、米QUALCOMM社、米Texas Instruments社の3社のARM系SoCがサポートされるが、これらはすべて同じバイナリで対応する。

 3G通信モジュールについてはOS標準のクラス・ドライバが提供される。無線LAN(Wi-Fi)モジュールについても、通常のパソコンではUSBやPCI Express経由でホスト側と接続することが多いが、WOAではSD I/O経由での接続を可能とし、より電池駆動時間を延ばせるようにした。また、タッチ・センサなどの各種センサは、これまでパソコンでの利用は少なかったI2CもしくはUARTで接続し、電力消費を抑えている。同社は、I2CやUARTをまとめて「Simple Peripheral Busses(SPBs)」と読んでいる。

Windows 8のβ版をMWCで公開

 Microsoft社は2012年2月29日に、x86/x64版のWindows 8の「Consumer Preview」版を一般公開する予定である。スペインで開催される展示会「Mobile World Congress 2012」に併せて現地で記者会見を開く。Consumer Previewは従来のβ版に相当するもので、2011年9月に開発者向けイベント「BUILD」で公開された「Developer Preview」版に続くものである(Tech-On!関連記事)。

 WOAについては一般公開はしないが、Consumer Preview版の公開に合わせて、ハードウエア・ベンダーや開発者などに向けて、WOAをインストールしたテスト機を限定的に配布する予定である。

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