図1●大学発新産業創出拠点プロジェクト施策は「事業プロモーター支援型」と「プロジェクト支援型」の2本柱で構成されている(文科省の資料から)
図1●大学発新産業創出拠点プロジェクト施策は「事業プロモーター支援型」と「プロジェクト支援型」の2本柱で構成されている(文科省の資料から)
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 2月8日に文部科学省は新施策「大学発新産業創出拠点プロジェクト」の仕組みを発表した際に、その仕組みの半分を占める「プロジェクト支援型」の概要や公表スケジュールなどを公表した(Tech-On!の関連記事)。

 平成24年度(2012年度)から始める新施策「大学発新産業創出拠点プロジェクト」は「事業プロモーター支援型」と「プロジェクト支援型」の2本立てで構成される(図1)。事業プロモーター支援型は、“事業プロモーター”と名付けた目利き人材が、大学や研究系独立行政法人の通常の研究活動からつくり出された基盤研究成果の中から、新規事業化が可能な有望シーズを発掘し、追加の研究開発を実施して事業化シーズまで育成し、新事業起こしシーズを提示する施策である。新事業起こしの有望なシーズを、ベンチャーキャピタルなどの金融機関に提示し、独創的なベンチャー企業などを起こすために必要なリスクマネー投資を確保するなどの出口戦略を立案し実行するための施策である。

 この際の“追加の研究開発”を実施する補助事業施策がプロジェクト支援型になる。大学発新産業創出拠点プロジェクト施策を担当する文科省科学技術・学術振興局の産業連携・地域支援課が示した今後の予定案によると、公募に応じた事業プロモーターユニットは3月末までに採択される。採択された事業プロモーターユニットは、24年4月から大学や研究系独立行政法人の通常の研究活動から産み出された基盤研究成果の中で、新規事業化が可能な有望シーズを発掘する。

 すなわちプロジェクト支援型は、事業プロモーターユニットが有望と判断した研究成果を事業化シーズまでに育成する開発を実施する支援策となる。事業プロモーターユニットが有望シーズと判断して発掘した基礎研究成果を産み出した当該大学や研究系独立行政法人は、その研究成果を事業化シーズまで育成する研究開発計画を立案する。例えば、事業化シーズまで育成するのに、他の大学などの研究成果を加味する必要があれば、その要素技術を加える研究開発計画を事業プロモーターユニットと共同で立案する。

 当該事業プロモーターユニットは、当該大学や研究系独立行政法人が練り上げた、有望シーズを事業化シーズまで育成する研究開発計画の実現性を評価するためにデューデリジェンスを実施する。その評価結果から事業化が可能であると判断されると、その当該大学などがその研究開発計画案を、文科省のプロジェクト支援型に応募する。

 各当該大学などが応募した研究開発計画案を、文科省が設置する評価委員会(仮称)が審査し、採択案件を決める。現在の見通しでは6月から9月まで3回にわたって応募された研究開発計画案を審査し、採択案件を決める予定だ。ここで重要な点は、事業プロモーターユニットは有望シーズを発掘するが、その有望シーズ案件の事業化の可能性は、評価委員会が判断するという仕組みである。

 事業プロモーターユニットはその活動費用を事業プロモーター支援型の補助事業から支援を受ける一方、研究開発計画を実施する大学などは、1年当たり上限1億4000万円(見通し)の研究開発費をプロジェクト支援型の補充事業から支援を受ける2本立て構造の仕組みになっている。支援を分離することで、事業プロモーターユニットと大学などが利益相反を起こさないようにする工夫である。

 各事業プロモーターユニットは、大学などの研究開発計画を数件、並行して担当し、それぞれの研究開発計画のプロジェクトマネジメントを行う。プロジェクト支援型の公募は4月から9月にかけて3回実施される計画だが、まだ細部を詰めている段階でである。