光ファイバ中に半導体を形成、英米の大学ら
英University of Southamptonと米Pennsylvania State Universityの研究チームは、光ファイバ中に半導体から成る電子回路を集積することで、光伝送と半導体を用いた信号処理を1本の光ファイバで済ませるための基礎技術を開発したと発表した。学術誌「Nature Photonics」に論文が掲載された(2008年の関連記事)。
最近、電子回路と光回路や導光路を同じSiチップ上に集積する「Siフォトニクス」技術が大きく進展している。ただし、Siチップと光ファイバを簡易に結合させる技術が確立されていないことが課題になっている。今回の技術開発は、光ファイバ中に半導体を集積することで、光通信の受発光や光伝送、そして信号処理を光ファイバ1本で済ませることを目指している。実現すれば、光ファイバにSiチップを結合させる必要がなくなる。
開発した光ファイバは、ファイバ中に白金(Pt)電極を含むショットキー・バリア・ダイオード(SBD)、受光素子に用いるPIN接合やアモルファス・ゲルマニウム(Ge)、発光素子に用いるZnSe半導体、Al電極などを用いるFETなどを光ファイバの芯(コア)部分に形成したもの。半導体や電極は同心円状の構造をしているが、SBDやFETとして動作することを確認した。FETのキャリア移動度は30cm2/Vsで、一般的な多結晶Siのキャリア移動度の値と変わりがないという。
作製方法は次の通り。まず、コア部分が中空の穴となった光ファイバをSiO2で作製する。ここで、高圧CVD(HPCVD)と呼ぶ、最大35MPaという圧力下でのCVDによって、例えばシラン(SiH4)ガスや各種添加材料を芯内部に送り込む。温度を適切に制御することで、芯内部でSiH4は、p型またはn型のSi半導体結晶となるという。半導体を芯部分に形成しても、その周囲を光導波路として利用することもできる。
今回、光信号を半導体で処理するような機能はまだ実装していない。それでも、受発光素子に用いる材料やFETなどがファイバ中に形成可能になったことで、Siチップ不要の光通信の実現に向けて一歩踏み出したという。












