トヨタ自動車の担当者が語る、SiC製パワー素子への期待と課題
トヨタ自動車 第3電子開発部の濱田公守氏は、現行のSiに続く次世代パワー素子として注目を集めるSiCについて講演した(Tech- On!関連記事)。この講演は、 2011年1月20日,東京ビッグサイトで開催された「第13回 半導体パッケージング技術展」に併設されたセミナー「省エネを牽引するパワーデバイスの最新技術動向」で行われた。
濱田氏は、Si製IGBTの性能向上は、理論限界に近づきつつあるとし、SiCへの期待を述べた。SiC製パワー素子の利点の一つとして、パワー・モジュールの小型化を挙げる。例えばIPMの場合、SiC製パワー素子を利用すると、Si製パワー素子を利用した場合と比較して、IPMの体積を約2/3〜1/3にまで小さくできると試算した。
加えて、SiC製パワー素子を利用し、スイッチング周波数を高めることで、キャパシタやリアクタの体積を削減できるとみる。具体的には、Si製パワー素子を利用した場合と比較して、スイッチング周波数を8倍とした場合、キャパシタの体積は20〜30%に、リアクタは25%ほどになるという。
講演では、トヨタ・グループ(トヨタ自動車や豊田中央研究所、デンソー)が取り組んでいるSiC製ダイオードの開発状況にも触れ、その成果の一端を明らかにした。同ダイオードは、pn接合とショットキー接合を組み合わせたJBS(junction barrier Schottky)構造を採用する。耐圧は1200V。チップ・サイズは6mm角で、アクティブ領域は25mm2である。電流容量は200Aで、電流密度は800A/cm2とする。
安価な高温材料が必須
200℃を超える高温まで動作可能なSiCの特性を生かせば、パワー素子やパワー・モジュールの小型化、冷却システムの簡素化が可能になる。これらにより、コスト削減につながる。
だが実際は高温対応の部材が高価で、こうしたSiC利用によるコスト削減効果が出にくい状況にある。例えば、パワー素子の接合材料やパッケージの封止樹脂などである。接合材料は、250℃以上で溶解せず、クラックも発生しないような高い信頼性を実現できる安価なものを求めているという。封止樹脂に関しては、高いガラス転移温度(Tg)と、接合性の両立が不可欠とした。
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