式典には100人近くが参加した
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実際の工場への導入事例も発表された
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 オープン・フィールド・ネットワークCC-Linkの普及推進団体であるCC-Link協会の韓国支部となる韓国CC-Link協会(CLPA-KOREA)は、2012年1月31日に韓国・ソウルのSheraton Seoul D Cube City Hotelで設立10周年の記念式典を行った。CC-Link協会の関係者や販売パートナーなど、100人近くが同式典に参加した。

 CLPA-KOREA代表の開会の挨拶に続き、CC-Link協会会長の関口隆氏(横浜国立大学名誉教授)が登壇。ユーザーの安価に早く生産したいというニーズを満たすためには生産システムの標準化、とりわけネットワークの標準化が必要であると説明。さらには、近年の景気の停滞を打破するためにはイノベーションが求められ、そのイノベーションを具現化すべくベンダーとユーザーが協力して想像的なシステムを開発するためにも、標準化が重要であると述べた。

 CC-Link協会事務局長の中村直美氏は、CC-Link協会の概況と今後の活動計画などについて紹介した。CC-Link協会の会員数は2011年末で1604社と、発足時(2000年)の134社と比較して約12倍の規模になっている。会員の中で、一番多いのは日本企業(565社)だが、ついで多いのは韓国企業で251社。近年では韓国をはじめ台湾(225社)、中国(182社)での会員数の伸びが目立つと言う。CC-Link協会では、コンフォーマンス・テストにパスしたものしか対応製品としか認めていないが、その数は2011年末までに1198製品までに増えており、現在900万以上の製品が実際の現場に組み込まれている。厳しいコンフォーマンス・テストに適合した製品なので、接続トラブルなどの報告はないという。今後の活動計画としては、重点的に攻める地域として中国を第一に挙げた。マーケティングのサポートや対応製品の拡大を実施していく予定で、出席した韓国のパートナー企業にも、一緒に中国市場の開拓に力を入れていこうと協力を呼びかけた。また、今後取り組んでいく技術テーマとしては、CC-Linkファミリーでのシームレス通信の実現、デバイスプロファイルの仕様公開、エネルギー管理機能の実現などを掲げた。

 CC-Link協会のテクニカル部会長である楠和浩氏は、メインのトピックスとして「CC-Link IE Field Motion」を取り上げた。同仕様は、フィールドネットワーク「CC-Link IE」の仕様を拡張してフィールドモーション機能を実現したもの。2011年11月に発表され、日本以外で詳細を説明するのは今回が初めてという。具体的にはフィールドネットワークにおいて同期機能を実現する。逐次指令方式を採用することで円弧補間や同期運転などの複雑なモーション制御が可能になるとともに、モーション制御とI/O制御に必要な配線を一本化できるために低コストにも貢献する。具体的なアプリケーションとして挙げたのが、ビジョンカメラからの情報を基にサーボモータで位置を制御するといったシステムで、このようなものが従来と比べて容易に構築できる。

 この後、CC-Linkの適用製品を販売する2社から適用事例が発表された。韓国三菱電機Automationは、「CC-Link IE Control」にシーケンサやパソコンなどの機器を接続するためのネットワークユニットを販売しているが、これらのユニットを利用してCC-Link IE Controlベースのシステムを構築することのメリットを説明した。CC-Link IE Controlは、各種のコントローラや制御パソコンなどを束ねる基幹ネットワーク。Ethernetベースであるためにケーブルやコネクタなどに汎用の製品が使える、1Gbpsの通信速度を活かした高速連携によりタクトタイムを短縮できる、光ファイバケーブルによる二重ループの伝送方式を採用しているため異常発生時もループバック機能で通信を継続できる、などの特徴を持つために、韓国においても広く採用されているという。

 韓国SMC空圧は、CC-Linkに対応した通信バルブを販売しているが、その応用事例を発表した。特に自動車の生産ラインに利用されているケースが多く、空圧で稼働する機器などの制御を行っている。発表では、現代自動車のエンジン製造ライン、台車稼働ラインなどの事例を紹介した。