図1 パナソニックの大坪氏
図1 パナソニックの大坪氏
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図2 三つの取り組みを強化
図2 三つの取り組みを強化
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 パナソニックで代表取締役 社長を務める大坪文雄氏は、2012年2月3日に開催した決算発表会で、収益力強化に向けた取り組みを発表した(Tech-On!の第一報)。パナソニック・グループ全体で持続可能な新たな事業モデルを作り上げていくという。さらには、「現在進めている収益構造の変革を急ぐことで、2012年度には何としても業績のV字回復を実現する」(同氏)考えだ。

 大坪氏は具体的な取り組みとして、(1)テレビ・半導体事業の黒字化、(2)白物家電や環境・エネルギー事業などの個別事業の成長による増益、(3)強みのある事業をベースにした「まるごとソリューション事業」の推進、の三つを挙げた。「これら三つトータルで新しい収益構造を作り上げる」(同氏)と意気込む。

パネル事業は非テレビ用途を5割に

 「最大の課題事業」(パナソニックの大坪氏)である(1)のテレビ事業については、2011年10月31日の第2四半期決算発表で明らかにしたパネル事業とセット事業の構造改革を、計画通りに推進中という(Tech-On!の関連記事1)。大坪氏は収益構造の最大のポイントとして、「液晶パネルの非テレビ用途での展開」を挙げ、積極的に外販を進めていく考えを明らかにした。2012年度の非テレビ用途での比率として「50%の水準へ一気に高めていく」(同氏)。

 既にタブレット端末や医療モニターなどでは、「複数のグローバル企業の採用が決定している」(パナソニックの大坪氏)とする。さらに、2012年1月開催の「2012 International CES」で披露した、20.4型で4K×2K(3840×2160画素)対応の液晶パネルを、2012年第4四半期に販売開始するという(Tech-On!の関連記事2関連記事3)。なお、半導体事業に関しては、「他社とのアライアンスを含めたさまざまな施策を推進中」(同氏)と述べるにとどまった。

白物、ソーラー、車載電池を強化

 (2)の個別事業に関しては、強みのある白物家電事業とソーラー事業、車載向け電池事業を強化する。白物家電では、2009年以降、現地通貨ベースで2桁成長している海外事業をさらに成長させていく考えだ。国内で好評の「エコナビ」機能搭載の白物家電や、シェーバーやマッサージ・ソファといった美容家電を全世界で展開していく。エアコンや洗濯機、冷蔵庫といった主要製品については、「北米市場に本格参入する」(パナソニックの大坪氏)という。生産拠点については、2012年以降、インドやベトナム、ブラジルで新工場を立ち上げる計画だ。

 ソーラー事業については、「当面の目標である国内No.1シェアの獲得に向けて継続して進めていく」(パナソニックの大坪氏)。2011年度は、「パナソニックの販売力をフル活用することで、2010年度に対して1.3倍の販売量になる見通し(発電量ベース)」(同氏)という。2012年度は、小型品を住宅メーカーに提案していく。さらには、蓄電池と連携するシステムを同年3月に、さらに家電とも連携するエネルギー・マネジメント・システムを同年秋に発売する。生産面では、太陽電池のウエハーからセル、モジュールまで一貫生産する新工場をマレーシアに建設し、コスト競争力を高める考えだ(Tech-On!の関連記事4関連記事5)。

 車載向けの電池事業については、Liイオン2次電池の採用拡大を図っていく。米Tesla Motors社の電気自動車(EV)「Model S」やトヨタ自動車のプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)「プリウスPHV」など、「グローバル主要5社の10車種以上に採用が決定した」(パナソニックの大坪氏)とする(Tech-On!の関連記事6関連記事7)。受注状況に応じて、「新ライン、新工場を検討する」(同氏)とした。

50種類のまるごと事業を作る

 (3)のまるごとソリューション事業については、単品売りだけでなく、機器同士をつなげる、メンテナンスや関連サービスを提供するという“3度稼ぐ”ビジネスを構築していく。「現在、30種類のビジネスが具体的に進んでいるが、2012年度には50種類に拡大する」(パナソニックの大坪氏)とした。