会場からの質問に答えるパナソニック 代表取締役社長の大坪文雄氏(左)と同社 常務取締役の上野山実氏(右)
会場からの質問に答えるパナソニック 代表取締役社長の大坪文雄氏(左)と同社 常務取締役の上野山実氏(右)
[画像のクリックで拡大表示]

 パナソニックは2012年2月3日、2011年度第3四半期の連結決算を発表した(Tech-On!の続報)。2011年4~12月の累計で、売上高は前年同期比10%減の5兆9654億円、営業利益は同85%減の395億円の大幅な減収減益だった。原因は「世界的な需要低迷」「円高の継続」「タイ洪水の影響」などだという。税引前損益は前年同期から5778億円減の3505億円の損失、純損益は同4485億円減の3338円の損失。営業外で3470億円の事業構造改革費用を計上した影響だという。

 営業利益に対するマイナスの影響の内訳は、為替が474億円、原材料価格高騰分が570億円、実質売り上げ減が2016億円、価格低下の影響が3770億円だとした。3470億円の事業構造改革費用の内訳は、薄型テレビ事業構造改革が1907億円、半導体事業構造改革が489億円、半導体などののれん減損が354億円、その他が720億円である。

 第3四半期単独(2011年10~12月)では、売上高が1兆9602億円(前年同期比14%減)、営業損益が81億円の損失(前年同期から1034億円減)だった。薄型テレビをはじめとするデジタルAV機器が苦戦したためだという。タイ洪水の影響は、売上高で800億円、営業損益で330億円とみているとした。

薄型テレビと携帯電話機が足を引っ張る

 2011年4~12月累計のセグメント別業績では、「デジタルAVCネットワーク」の売上高が2兆1829億円(前年同期比16%減)、営業損益が327億円の損失だった。パソコンなどの売り上げは伸びたものの、薄型テレビや携帯電話機などの不振が大きく影響した。

 「アプライアンス」(白物家電)は、売上高が9792億円(前年同期比1%増)、営業利益は786億円(同4%減)だった。エアコン、洗濯機、冷蔵庫などが堅調だったのに加え、海外では調理家電や換気扇も好調だという。「電工・パナホーム」は、売上高が1兆3228億円(同3%増)、営業利益が504億円(同7%減)。電子材料や制御機器のデバイス部門がタイ洪水の影響で減益になった。

 「デバイス」(電子部品)は、売上高が6096億円(前年同期比15%減)、営業損益が173億円の損失。薄型テレビ向けの落ち込みに加え、パソコンやデジタル・カメラ向けも低調だったという。旧三洋電機の事業は、売上高が9741億円(同20%減)、営業損益が470億円の損失だった。太陽光発電システムや業務用冷蔵/冷凍機器などは堅調だったものの、電子部品、白物家電、デジタル・カメラなどの売り上げ減や半導体事業譲渡の影響で減収になった。

重くのしかかる三洋電機ののれん減損

 パナソニックは、2011年度通期業績見通しの下方修正も発表した。売上高は、2011年10月31日発表時点の8兆3000億円から3000億円減の8兆円とした。デジタルAVCネットワークの売上高を1800億円下方修正したのが大きい。営業利益は、1300億円から1000億円減の300億円。タイ洪水の影響は、売上高で1300億円、営業利益で600億円だとした。

 税引き前損益の見通しは、4300億円の損失から3900億円下方修正して8200億円の損失、純損益は4200億円の損失から3600億円下方修正して7800億円の損失と「過去にない損失規模」(同社 常務取締役の上野山実氏)になった。三洋電機ののれん減損が、前回予想の400億円から2500億円膨らんで2900億円になったのが大きく影響したという。

【訂正】
当初、最後から2番目の段落で「売上高は、2011年10月31日発表時点の8兆3000億円から3000億円減の8000億円とした。」となっていましたが、正しくは「売上高は、2011年10月31日発表時点の8兆3000億円から3000億円減の8兆円とした。」でした。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。