米Analog Devices社、富士電機、NICT(情報通信研究機構)、ルネサス エレクトロニクスなど日米8社は、スマートメーターに向けた無線通信の業界団体を旗揚げした。名称は「Wi-SUN Alliance」(ホームページ)。さまざまなメーカーのスマートメーターの無線通信に関して、相互接続性を確保するためのロゴ認証を行う。スマートメーター用無線通信の規格認証団体が設立されたのは、今回が初めて。

 8社はこのほか、村田製作所、オムロン、大崎電気工業、米Silver Spring Networks社であり、これらの企業が主導企業(プロモーター)となる。国内メーター大手の富士電機や大崎電気工業が加盟するほか、メーター向け半導体大手のAnalog Devices社およびルネサス エレクトロニクス、さらに米カリフォルニア州でスマートメーターを広く導入しているSilver Spring社が加わっているなど、業界関連企業が結集した格好だ。今後8社が共同で、相互接続性を確保するためのロゴ認証の整備や、スマートメーターの世界市場での普及促進に取り組むという。

低消費電力型無線「IEEE802.15.4g」の利用を推奨

 Wi-SUN Allianceが推進する無線通信規格は、米IEEE802.15委員会で標準化が進んでいる「IEEE802.15.4g」である。15.4gは、電池駆動の設備系機器に向けた無線通信の物理層規格で、ガス・メーターなどの遠隔検針や、メーターと宅内家電機器の情報のやりとりに最適化した仕様として、東京ガスや富士電機などの主導で策定されたもの(Tech-On!の関連記事)。消費電力が低いことが特徴で、電池交換なしに10年程度駆動するメーター機器で利用できるという(Tech-On!の関連記事)。なお「Wi-SUN」という名称は、「Wireless Smart Utility Network」の頭文字をあわせたもの。スマートメーターに限らず、各種インフラの無線センサ・ネットワークでの利用を想定するため、こうした名称になったという。また同名称は、IEEE802.15.4gの作業部会の通称でもある(ホームページ

 15.4g対応の無線通信用ICは、Analog Devices社など複数の半導体メーカーが開発を進めており、今後利用が拡大するとみられていた(Tech-On!の関連記事)。ただし、無線LANにおけるWi-Fi Allianceや、ZigBeeにおけるZigBee Allianceのような、規格への準拠を認証する団体が未整備のままで、各社の対応機器の相互接続性に不安があった。今回Wi-SUN Allianceは、「無線LANにおけるWi-Fi Allianceのような活動を行う」(関係者)としており、ロゴ認証の仕組みを整備することで、相互接続性を確保するねらいである。このほか、普及促進に向けたマーケティング活動も行っていく。なおMAC層規格として、15.4eの利用も推奨するもよう。

 Wi-SUN Allianceは、同団体として初めてのプロモーター・ミーティングを、2012年1月24日に都内で開催する。その後、仕様への準拠を認証するためのテスト・スペックや、認証試験機関の選定、ロゴ・マークの制定などを行う予定。2012年夏ごろをメドに、テスト・スペックを固めたいとしている。同アライアンスは今後、15.4gの普及促進に向け、団体の加盟企業を募る予定で、国内外の関連団体や企業に広く呼びかけていくとしている。