画面を視線の移動だけで操作している様子。画面下に組み込まれたのが「アイトラッカー」
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Windows 8搭載パソコンでのデモも披露した
Windows 8搭載パソコンでのデモも披露した
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 目の動きだけで機器に入力する、「視線入力技術」を開発するスウェーデンTobii Technology社が、CESに初登場した。同社の技術は、障害者向けの支援機器や一部の産業機器などで既に使われているが、次の応用のターゲットとしてパソコンや家電分野を狙っている。

 Tobii社はパソコンへの応用に向けて中国Lenovo社と共同開発を進めており、今回のCESでは同社の視線入力装置「アイトラッカー」をノート・パソコン「ThinkPad」に組み込んで各種のデモを見せた。

 視線入力技術は、近赤外LEDの光を利用者の目に向けて出射し、瞳孔からの反射光を近赤外CMOSセンサで受信して視線の位置を検出する。アイトラッカーは、近赤外LEDや近赤外CMOSセンサ、制御回路、太陽光など検出に悪影響を与える光線を遮断する光学フィルターなどで構成される。

 利用する前には、キャリブレーションを1回行う必要がある。画面の四隅と中心に次々に表示される赤い点を見つめることで、利用者を認識する数十秒の作業である。

 今回は、パソコンの画面に表示される文書を読むだけで自動的にスクロールしたり、PowerPoint内に表示された複数のスライドを目でスクロールして特定のスライドを凝視することで選択したりするデモなどを紹介した。筆者も実際に試したが、スムーズに操作できた。

 Windows 8のベータ版を搭載したパソコンでのデモもあった。目的ごとに異なる「タイル」が表示される「Metro UI」を、視線と簡単なクリックで操作するものだ。

 Metro UIを通常のパソコンで操作する際、タッチパッド上で指を長い距離を滑らせて目的のタイルを選択する必要があるケースが出てくる。一方で、視線入力の場合は、目的のタイルを見つめ、タッチパッドをクリックするだけでよい。「視線入力を組み合わせることで、操作の時間を節約したり簡略化できる」(Tobii社)と説明する。