図1 KDDIは「au」ブランドの新しいスローガンの展開に合わせてブランドマークを変更した
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図2 各種のスマートデバイスからオープンなインターネットの世界を簡単に、安心して利用できるようにすることを目指す「スマートパスポート構想」を打ち出した
図2 各種のスマートデバイスからオープンなインターネットの世界を簡単に、安心して利用できるようにすることを目指す「スマートパスポート構想」を打ち出した
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図3 月額390円でAndroidアプリのサブスクリプション・サービスや割引クーポンなどを利用できる「auスマートパス」を開始する。当初はスマートフォン向けに提供するが、タブレット端末やその他の機器にも展開する計画だ
図3 月額390円でAndroidアプリのサブスクリプション・サービスや割引クーポンなどを利用できる「auスマートパス」を開始する。当初はスマートフォン向けに提供するが、タブレット端末やその他の機器にも展開する計画だ
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図4 固定通信サービスの利用者に対してスマートフォンの利用料金を割り引く「auスマートバリュー」を開始する。KDDIなどのFTTHサービスの他、全国のCATV事業者の固定通信サービスの利用者を対象とする
図4 固定通信サービスの利用者に対してスマートフォンの利用料金を割り引く「auスマートバリュー」を開始する。KDDIなどのFTTHサービスの他、全国のCATV事業者の固定通信サービスの利用者を対象とする
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図5 2012年3月に、ユーザー認証サービス「au one ID」を「au ID」に刷新する。機種変更時に旧機種で購入したコンテンツを新機種でも利用可能にしたり、購入したコンテンツをスマートフォンやその他の端末で共有可能にしたりする
図5 2012年3月に、ユーザー認証サービス「au one ID」を「au ID」に刷新する。機種変更時に旧機種で購入したコンテンツを新機種でも利用可能にしたり、購入したコンテンツをスマートフォンやその他の端末で共有可能にしたりする
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 KDDIは2012年1月16日に、「スマートパスポート構想」と呼ぶ新しい事業戦略を発表した。オープンなインターネットの世界を各種のスマートデバイスから簡単に安心して使えるようにすることを目指すとする。このスマートパスポート構想に沿ったサービスとして、スマートフォン・ユーザーに向けて(1)スマートフォン用アプリのサブスクリプション・サービスとオンライン・ストレージ・サービスなどを組み合わせた「auスマートパス」、(2)指定の固定通信サービスの利用者を対象とするスマートフォンの利用料金割引サービス「auスマートバリュー」、の二つを2012年3月に開始する。「ユーザーに『auから離れたくないな』と思ってもらう」(KDDI 執行役員専務 新規事業統括本部長の高橋誠氏)のが狙いだ。

 (1)のauスマートパスは、月額390円の利用料金を支払うと、(a)KDDIが選んだ500本以上のAndroidアプリ、(b)小売店や飲食店などで使える割引クーポン、(c)画像や動画のバックアップや管理・共有に利用できる10Gバイトのオンライン・ストレージ、(d)トレンドマイクロのスマートフォン用セキュリティー対策ソフト、を自由に利用できるサービスである。

 auスマートパスの対象となるアプリには、コナミデジタルエンタテインメントの「モバイル・パワフルプロ野球2012 for auスマートパス」、カプコンの「モンスターハンター Dynamic Hunting」などのゲーム、イーストの辞書「大辞林」「ジーニアス英和辞典第4版・和英辞典第3版」、ジャストシステムの日本語入力システム「ATOK for Android」などがある。いわゆるサブスクリプション型のサービスであり、ユーザーは何本ダウンロードしても構わない。アプリの開発元に対しては、継続的に利用されるほど金額が増えるという考え方で売上を分配していくという。

 (2)のauスマートバリューは、KDDIの「auひかり」、中部テレコミュニケーションの「コミュファ光」、ケイ・オプティコムの「eo光」などのFTTHや、ジュピターテレコムやジャパンケーブルネットなどのCATVの固定通信サービスを契約しているユーザーと、同居の家族を対象とする割引サービスである。スマートフォンの利用料金から、最大2年間は1480円を毎月割り引く。2年経過後は割引額が980円になる。また、auスマートバリューの契約者に対して、モバイル・ルーターの利用料金を割り引くサービスも提供する。

 「auスマートバリューは、単純な値下げではない。KDDIにとっては移動通信網のトラフィックのオフロードにつながり、ユーザーは(家庭内の無線LANや公衆無線LANなどを使って)サクサク通信できるようになる。FMC(fixed mobile convergence:固定通信と移動通信の融合)によって新たな価値を与えるという事業モデルであり、KDDIが最も良い位置に立っている」(同社 代表取締役社長の田中孝司氏)。

 利用料金を大きく割り引くスマートパスポート構想は、ARPU(契約者1人当たりの通信料収入)の減少につながる恐れがある。これについて田中氏は「これからはモバイルのARPU、固定のARPUという形ではなく、FMCのARPUとして見ていく。それに加えて、auスマートパスのような新しい収益モデルの検討も進める」と説明した。