今回の可視光通信を使ったデモ。カメラで撮影した画像の上にサーバーから読み取った情報が表示されている
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LEDを用いた送信機の試作版
LEDを用いた送信機の試作版
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デジタル・サイネージでの応用を想定したデモ
デジタル・サイネージでの応用を想定したデモ
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デジタル・サイネージの表示画面のデザインなどに与える影響は小さい
デジタル・サイネージの表示画面のデザインなどに与える影響は小さい
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 カシオ計算機は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色の明滅を用いた可視光通信技術を開発した。LEDの明滅をスマートフォンやタブレット端末のカメラで読み取ることで、データ通信を実現する。2012年1月10日(米国時間)に米国ラスベガスで開催中の民生機器展示会「2012 International CES」で、デモを披露している。今回は参考出展で実用化時期は未定だが、デジタル・サイネージやイベント会場などでの応用を見込む。

 今回開発した可視光通信技術は、0~255(8ビット)のIDデータをRGB3色を組み合わせた明滅パターンに変換して送信する。データ伝送速度は5ビット/秒で、2秒ほどでデータを読み取れる。可視光の直径が1cmの場合、約1m離れた場所からデータを認識可能だ。直径を大きくし、明度を高めれば、より離れた場所からもデータを読み取れる。

 RGBの明滅はLEDや、デジタル・サイネージの画面上に表示することを想定している。RGBの明滅はバーコードを使うよりも、周辺環境の景観や、画面上の表示に与える影響が少ないため、バーコードとは異なる応用分野を開拓できると、カシオ計算機の開発担当者は見ている。

 送信する情報はバーコードと同様に活用できる。同社は、インターネット上のサーバーや、利用者がいる位置情報を組み合わせたスマートフォン、タブレット端末向けのサービスを想定している。

 例えば、店舗の前に設置したLEDの明滅パターンをスマートフォンのカメラで読み取り、それが表すID番号と、GPS測位などで取得した位置情報をサーバー側に送信する。サーバーには、あらかじめLEDの設置位置が登録してあり、それを使って読み取ったID番号に対応する情報をスマートフォンに送り返す。この仕組みを使うことで、利用者に割引クーポンや店舗情報などを送ることが可能になる。会場では、カメラで撮影している画像の上に情報を重ね合わせて表示するデモを見せた。

 このほか、利用者がサーバー上に伝言や思い付いたことを書き込むような応用を想定したデモも実施している。取得したID番号や位置情報と一緒にコメントをサーバーに送信する。特定の範囲の位置で同じ番号を読み取ることでサーバー上に記録したコメントを読み返す仕組みだ。この仕組みを使えば、観光地やイベントでの記念撮影で、その場で写真にメッセージを書き込んだり、デコレーションを施したりするサービスを提供できる。

 スマートフォンの処理能力が向上し、明滅を読み取る画像処理が高速化できれば、より大きな容量のデータを受信することも可能という。