PC向けの「Kinect for Windows」の写真
PC向けの「Kinect for Windows」の写真
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 米Microsoft社は、Windows PC向けのジェスチャー入力コントローラ「Kinect for Windows」を2012年2月1日に日米を含む世界12カ国で同時発売すると発表した(発表資料)。希望小売価格は、1年間の保証やランタイムおよびSDKなどのソフトウエア付きで249米ドルである。2012年後半には、149米ドルのアカデミック版も投入する計画である。

 今回のKinect for Windowsの最大の特徴は、Kinectの商用利用を認めている点である。同社は2011年6月にPCでKinectを用いるためのSDKを無償公開したが、あくまでベータ版との位置付けであり、商用利用は認めていなかった(Tech-On!関連記事01同02 同03 )。

 今回の正式版SDKが投入されることで、SIer(システム・インテグレータ)などを含む開発者の誰もが、PCでKinectを利用するアプリケーションを構築・販売できるようになる。

 2012年1月10日のCESにおけるMicrosoft社の基調講演では、米Boeing社、米American Express社、Unilever社、Citigroup社などが既にKinectを用いたシステムの検討を開始していることが明らかにされた。

価格は約1万円ほどアップ

 Kinect for Windowsは、至近距離で操作するPCでの利用を想定し、距離画像を取得できる最短距離を、Xbox 360向けのKinectの85cmから50cmにまで縮めている。さらに、単一のハードウエアとのみ接続できればよいXbox 360向けと異なり、さまざまなメーカーのPCと接続する必要があるため、USBケーブルを短くし、USB接続の信頼性を高めるなどの変更を施している(Tech-On!関連記事)。

 価格は、Xbox 360向けのKinectが1万4800円であるのと比べると、1万円ほど高くなっている。Microsoft社によると、ゲーム機向けKinectでは、ゲーム・ソフトの売り上げなどエコシステム全体でハードウエアのコストを回収できるのに対し、PC向けではそうした方策がとれないため、価格が高くなっているとしている。

新たにWindows Embeddedもサポート

 対応OSは、Windows 7およびWindows 8 developer Preview(Metro環境は非対応)である。また、新たにWindows Embeddedもサポート対象となった。これにより、PCやゲーム機以外の一般の組み込み機器でも、Kinectを利用する道が開けたこととなる。

 今回のKinect for Windowsでは、ソフトウエア企業のMicrosoft社でありながら、事業面では純粋なハードウエア・モデルを採る。SDKやランタイムについてロイヤルティーは一切発生せず、Kinect for Windowsのハードウエアと共に用いる限り、開発者およびエンド・ユーザーのいずれもが無償で利用できる。

 なお、2012年2月に公開されるSDKは、同時に発売されるKinect for Windowsのハードウエアのみで利用できる。ゲーム機向けのハードウエアであるKinect for Xbox 360をPC向けに用いる場合は、従来のベータ版SDKのみが利用可能であり、ゲーム機向けの安価なKinectを新しいSDKとともに用いることは認められていない。

 これまで通り非商用のベータ版SDKを使い続けること自体は可能である。こうした用途に向けて同社は今回、ベータ版のライセンス期限を2016年1月まで延長した。ただし、同社は、Kinectの開発者が正式版のSDKに移ることを期待しているという。