デモを見に多くの人が行列
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ジェスチャー入力時に表示されるメニュー
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音声入力時に表示されるメニュー
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 韓国Samsung Electronics社は、2012年1月9日(米国時間)に開催した報道機関向けのイベントで、同年第一四半期内に米国で発売するスマートテレビのハイエンド・モデルに、リモコンに代わる新しい入力手法を採用することを明らかにした。テレビの筐体の上部中央にカメラとマイクを内蔵し、手の動作によるジェスチャー入力と音声での入力に対応する。同社はこの新機能を「Smart Interaction」と称している。

 展示会が開幕した1月10日、さっそくそのデモを見るためにSamsungブースを訪問してみた。Smart Interactionのデモは、ブースに特設したガラス張りの部屋の中で行われていた。驚いたことに、デモのために長い行列ができている。来場者の関心は非常に高いようだ。

 まず、同社の技術者に聞いた。Smart Interactionに対応するスマートテレビ「ES8000」などが内蔵するのは、120万画素のCMOSセンサとマイクである。ジェスチャー入力は、このセンサが捉えた画像を利用する。画像内から手の平の形状を認識し、手の動きを画面上のカーソルの動きに対応させる。
 ジェスチャーでは、見たいコンテンツを選んだり、テレビのチャンネルを切り替えたり、音量を調節したりできる。手を動かすことでカーソルを移動し、「決定」する際にはこぶしを握る。テレビから4~5m離れた位置に利用者がいても、テレビから見てある一定の角度の範囲内にいればジェスチャー入力が可能という。

 画像認識を使ったジェスチャー入力では、手の指の動きを判別できるものもあるが、それに比べると機能的には基本レベルと言える。なお、この技術は「他社と共同開発した」(前出の技術者)としている。

 音声入力では、まずこの機能を使うことをテレビに認識させるために、トリガーとなる言葉を発する必要がある。デモでは、担当者が「Hi TV」と言うと画面の下部にマイクのアイコンや操作メニューが表示された。ここで直接、見たいチャンネルの番号を言ったり、チャンネルを切り替えたり、音量調節もできる。スリープ状態からテレビを音声で起動することも可能だ。

 ただし、同社の担当者に代わって来場者がトライしたところ、「Hi TV」と3回言ってもメニューが表示されないこともあった。また、展示会場のような周囲の雑音が大きい場所では正しく動作しないことがあるため、専用の部屋を用意したと見られる。誰もが快適に使えるようになるには、まだ課題がありそうだ。

 なお、Samsung社ではSmart Interactionを実装するために、ES8000などに自社開発のARMベースのデュアル・コアSoCを搭載したという。約1GHzで動作する。