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 米Nest Lab社は、「CES 2012」に先だって開催された報道関係者向けのイベント「CES
Unveiled」に家庭用の室温制御装置(サーモスタット)「nest」を出展した。特徴は、利用者の生活スタイルに合わせて最適な室温を学習する機能を備えること。無線LANを用いてスマートフォンやタブレット端末、パソコンなどと連動し、インターネット・サービスと組み合わせた温度制御を実現する。

 従来型のサーモスタットを利用するよりも、大幅に電力消費を低減できるという。価格は249米ドルで、2011年12月に発売。最初の生産分は1カ月ですべて完売した。Nest社のCEOであるTony Fadell氏は、米Apple社の元技術者で、iPodやiPhone開発担当のSenior Vice Presidentを務めた人物だ。

 米国の一般家庭に取り付けられているサーモスタットの置き換えを目指す。従来のサーモスタットと同様に室内の壁面などに取り付け、屋内の配線を経由して有線で空調機器を制御する。

 従来のサーモスタットとは一線を画す円形のコンパクトなデザインや、その前面にある円形の操作パネルをつまみのように回し、好みの室温を設定するユーザー・インタフェースは大きな特徴の一つ。利用者の設定に合わせて内蔵する温度センサで温度を測り、設定温度になるように空調機器を動かすのは、従来のサーモスタットと同じである。

 だが、利用者の生活スタイルを学習し、そのパターンに合わせた温度設定を適応制御する点が大きく異なる。利用者による温度設定の内容や設定した時刻、内蔵した動き検知センサで検出した利用者の動きなどのデータを基に学習を実現する。検知センサなどを活用して、留守の際には自動で留守モードの温度設定に変更する仕組みも備える。

 スマートフォンやタブレット端末向けのアプリケーション・ソフトウエア(アプリ)を配布し、これらの端末経由でインターネット上の同社サーバーから提供する情報も省エネや温度設定の学習に加味する。例えば、利用者の自宅周辺の外気温や気温予想などの気象情報を使い、省エネに効果的な温度設定を利用者に知らせる機能などである。スマートフォンなどの端末とは、家庭内の無線LANネットワークで連携する。携帯端末を用いて、外出先から温度設定を変更することも可能だ。