図1 「Kindle Fire」
図1 「Kindle Fire」
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図2 前面筐体と背面筐体の接合部の隙間にマイナス・ドライバーを入れる
図2 前面筐体と背面筐体の接合部の隙間にマイナス・ドライバーを入れる
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図3 大きなLiポリマー2次電池と小型のメイン基板が見える
図3 大きなLiポリマー2次電池と小型のメイン基板が見える
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図4 2次電池を取り出した
図4 2次電池を取り出した
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図5 背面筐体側には、大きな金属板が搭載されている
図5 背面筐体側には、大きな金属板が搭載されている
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 電子商取引(EC)の巨人である米Amazon.com社が、2011年11月に発売したタブレット端末「Kindle Fire」(図1)。199米ドルという低価格から、早くも市場を席巻している。米国の調査会社IHS iSuppli社によれば、Amazon.com社は2011年第4四半期、つまり発売からわずか1ヵ月半で約390万台を出荷する見込みだという。米Apple社の「iPad」シリーズには遠く及ばないが、Androidタブレットでは韓国Samsung Electornics社の「Galaxy Tab」シリーズを大きく引き離してトップである。

 Kindle Fireは、200米ドルを切るという目標を達成するために、ハードウエア的な機能を割り切っている。カメラやGPSなど、他社のタブレット端末が通常備えている部品を搭載していない。基本的なハードウエア構成も“必要最低限”だ。これは、Amazon.com社が提供する電子書籍や映像、音楽などコンテンツの“消費”を目的として作られているためだ。では、実際のハードウエア構成はどのようになっているのか。日経エレクトロニクス分解班はKindle Fireを入手し、分解した。

2次電池が大部分を占める


 Kindle Fireの外観を見ると、ネジは見当たらない。どうやら前面と背面の筐体を嵌め込んで一体化しているようだ。そこで、前面筐体と背面筐体の接合部の隙間にマイナス・ドライバーを入れ、筐体を開こうと試みる(図2)。

 すると、あっさりと開いた。Kindle Fireの筐体を開けると、まず目に飛び込んでくるのは、大きなLiポリマー2次電池と小型のメイン基板である(図3)。メイン基板に部品を高密度で実装し、できるだけ基板サイズを縮小することで、より大きな2次電池を搭載しようと試みたようだ。

 2次電池を取り出してその容量を確認すると、4400mAhだった(図4)。7型サイズのタブレット端末としては比較的大きい。Kindle Fireは、コンテンツの消費を主目的にしているだけに、駆動時間をなるべく延ばすことを重視したとみられる。

 背面筐体側には、大きな金属板が搭載されている。電池からの発熱を効率よく冷やす工夫なのだろう(図5)。

 続いて、メイン基板を見てみる。

(続く)