H1N1の感染力の経時変化(図:パナソニック)
H1N1の感染力の経時変化(図:パナソニック)
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H3N2の感染力の経時変化(図:パナソニック)
H3N2の感染力の経時変化(図:パナソニック)
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 パナソニック エコシステムズは、パナソニック電工、パナソニック ホームアプライアンス社と共同で、水に高電圧を加えて生成するナノ・メートル大の帯電微粒子水「ナノイー」が、約30m3(約8畳)の空間で付着した状態にあるウイルスの感染力を抑える効果があることを検証した(ニュースリリース)。

 インフルエンザへの感染の多くは、飛沫感染によるものと、飛沫に汚染されたモノなどに触れた手を介する接触感染という。ウイルスは、日常生活空間のモノなどに付着した環境では長時間生きつづける。そこで、パナソニックは、中国湖北省武漢大学の協力を得て、2種類のA型インフルエンザ・ウイルスを用い、試験空間でナノイーのウイルス抑制効果を検証した。

 実験では、A型(H1N1)とA香港型(H3N2)インフルエンザ・ウイルスを発育鶏卵の尿膜腔内で増殖させ、得られた尿腔液を希釈して実験用ウイルス液として用いた。ウイルス液3mlを滴下した滅菌ガーゼを試験室(3.5m×3.5m×2.5m)内に紐で吊り下げ、ナノイー発生装置で12時間、ナノイーを曝露した。また、同様の環境で同様の試料に通常の送風運転のみを行った(ナノイー非曝露)。

 曝露処理12時間後に各試料から付着ウイルスを回収して10倍段階希釈列を作製し、MDCK細胞に感染させた。その3日後にReed-and-Muench-methodを使用し、ウイルス感染価TCID50(ウイルスが50%の確率で感染する希釈倍率)を算出した。この結果、ナノイーを曝露すると、ウイルスの感染力が99%以上、抑制できることがわかったという。