中国・深センで2011年11月16~21日に開催された展示会「第13回中国国際高新技術成果交流会(China Hi-Tech Fair 2011)」は、中国内のあらゆるハイテク産業が集まる巨大な展示会である。今回は2928社の出展と53万6000人の見学者が集まった(主催者公表数値)。日本の展示会と比べると1ケタ違う巨大さである。9つの大きな展示館(総面積10万5000m2)の中で、身動きができないほどの人が行き来する状況から、中国のスケールを実際に体感できる。そして、筆者がもう一つ衝撃を受けたことがある。FPD産業の構造変化がはっきり現れていたことである。

 先日、中国大陸と台湾の間の接近を示す産業動向の一つの事例として、併設するフォーラム「第7回中国国際顕示大会(7th China International Display Conference:CIDC2011)」での中国大陸と台湾の海峡両岸の交流を報じた(Tech-On!関連記事1)。一方、今回レポートする展示会では、FPD産業全体の時代の変化を象徴する内容がはっきりと見えた。

ついにFoxconnが登場!

 9つの展示館の中の一つ、3号館にFPD関連の展示エリア「光電平板顕示展」があった。液晶パネルや有機ELパネル、タッチ・パネルをはじめ、FPD関連の材料および製造装置,さらにはLED関連の展示などが集まっている。出展企業は主に広東省地区の企業だが、パネル・メーカーとして北京に本社がある中国BOE Technology Group社も出展した。

 今回、FPD関連で筆者が注目したのは,この3号館とは別の1号館である。ここは「信息技術と産品展」の会場で、テレビやモバイル機器などの完成品を主に展示している。今回の展示会の中心と位置付けられている場所である。ここには、以前からセット・メーカーなどが出展している。今回も、大型FPDテレビに関しては、中国のKonka社や Skyworth社 などが出展し、3次元(3D)テレビなどの最新の展示デモをしていた。中でも、ひときわ目を引いたのが富士康科技集団(Foxconn Technology Group)である。これまで展示会などの表舞台ではお目にかからなかった同社の展示ブースをぜひ見ようと、大勢の見学者であふれていた(写真1)。

写真1  China Hi-Tech Fair 2011 の1号館の中心に陣取った富士康科技集団(Foxconn Technology Group)のブースには、大勢の見学者が押し寄せた。この左隣には京東方科技集団(BOE Technology Group社)も出展。著者が撮影。
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 ここに展示されていたのは、Foxconnが製造しているモバイル端末をはじめとした数々の製品である。また、これらの製品を支える技術も展示された。この技術展示の中には、Foxconnが傘下に収めた台湾Chimei Innolux(CMI)社の有機ELパネルや中国・深超光電のIPS液晶パネルなどが展示されていた(写真2写真3)。

写真2 Foxconn ブース内に展示されたCMI社のパネル技術の紹介。左から、50型3D液晶、3型と3.5型の有機ELパネル、4.5型の2D/3D切り替え3D液晶パネルなど。著者が撮影。
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写真3  Foxconn ブース内に展示された深超光電のパネル技術の紹介。左から、光配向を使った7型IPS液晶パネル、インセル型タッチ機能を組み込んだ2.8型IPS液晶パネル、第5世代ラインで作った9.7型IPS液晶パネル、アモルファスSi技術によるゲート駆動回路内蔵型パネルなど。このほかにも、タッチ・パネルの実装に関する展示などが多数あった。著者が撮影。
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