【EDSF2011Nov.】BGAのピン配置工数が7割減、川崎マイクロがジェム・デザインのパッケージ用EDAを導入
ジェム・デザイン・テクノロジーズは、川崎マイクロエレクトロニクスが、ジェム・デザインのパッケージ設計用EDAツール「GemPackage」を導入したと発表した(ニュース・リリース)。GemPackageはパッケージの上流設計に向けたツールで、フィージビリティ・スタディ(実現可能性の検討)や概略設計に使う(Tech-On!関連記事、同2)。
2011年11月16日〜18日にパシフィコ横浜で開催の「EDS Fair 2011 November」において、ジェム・デザインはブースを構えた。また、川崎マイクロの高木昭彦氏(商品開発部パッケージ開発グループ グループ長)は、ジェム・デザインの出展者セミナーに登壇し、GemPackage導入の経緯や効果について講演した。
GemPackageはジェム・デザイン・テクノロジーズの代表取締役の村田洋氏が開発したEDAツールで、2007年ごろから市場での販売を開始した。ブースで同氏に聞いたところ、GemPackageを購入した機関数は累積で14になったという(無償での評価数は含まれない)。東芝LSIパッケージソリューション(現在はジェイデバイス)、大昌電子、国内大手半導体メーカーA、リコー、静岡大学、九州工業大学、国内大手パッケージ・メーカーB、富士通VLSI、国内大手半導体メーカーC、富士通セミコンダクター、ルネサス北日本セミコンダクタ、ヤマハ、川崎マイクロ、そして半導体理工学研究センターである。
チップとパッケージのグルーピング情報が連携
川崎マイクロは2009年の第2四半期からパッケージのフィージビリティ・スタディ用EDAツールの調査を開始した。高木氏によれば、調査開始の背景には、パッケージ構造の変革などがあったという。例えば、SiPの増加である。2007年にはSiP(system in package) は9.1%に過ぎなかったが、2010年には59.6%がSiPになったとする。また、1000ピン以上の大型のフリップチップ・パッケージも増加している。その数は、ここ5年間で2倍になったという。
高木氏らは、GemPackageを含めて複数のEDAツールを調査・検討した。GemPackageの優位点として、「直感的に使いやすい」、「様々なピン配置機能がある」、「多種類のパッケージに対応する」、「チップ内のパッド配置もGUIで編集できる」、「簡易的な仮設計が可能」、「ユーザーが必要な機能を開発する姿勢とスピードがベンダーにある」といったことを挙げている。そうした優位点の中で、高木氏が詳しく紹介したのが、ピンのグループ化の機能である。
この機能を使うことで、チップのパッドのグルーピングと、パッケージのピンのグルーピングを対応付けることが容易に行える。これで、ピンの自動配置機能を使っても、その結果が予測範囲内に収まる。1ピンごとに自動配置する一般的なツールの機能に比べて実用度が高い。このグループ化機能と自動配置機能、さらに制約の厳しいピンはマニュアル配置という棲み分けを行うことで、BGAパッケージのピンの配置工数は従来の約55%に削減した。
さらなる改善を考えた高木氏は、「スプレッド・シートを使ったグループ編集」や「グループ・エリアの自在編集」など、59件の改善・開発要求をジェム・デザインに出した。このうち、ジェム・デザインは47件に応えて、GemPackageを強化した。強化版のGemPackageを使ったところ、BGAパッケージのピンの配置工数は従来の約30%にまで削減した。
SiPにも適用
川崎マイクロは2011年4月から、GemPackageを実際の業務に適用し始めた。当初は、PBGAパッケージとQFPに適用した。その後、適用範囲をFC-BGAパッケージや、SiPに広げた。SiPでは、上述した「チップ内のパッド配置もGUIで編集できる」という特徴などが効いたようだ。
ニュース・リリースには、登壇した高木氏のコメントが紹介されている。「ここ数年来の信号高速化により、チップ設計とパッケージ設計のそれぞれを担う組織間の連携がより重要になっていた。また、パッケージ技術の進歩により、パッケージ設計に必要な情報をODM先のパッケージ・メーカーに手渡すまでの検討作業が複雑化してきたことから、EDA環境及び業務フローの改善が喫緊の課題となっていた」(同氏)。
「今回GemPackageを導入することで、従来のEDAツールはほぼそのまま維持しつつ、仕様検討段階で小回りが利くように設計環境を改善することができた。GemPackageは柔軟なツールなので、当社の設計フローへの組み入れや設計者間の共通ツール化が進めやすい。業務効率化に大いに役立っている」(同氏)。













