【FPDI】「産業用で攻める」――台湾Pervasive Displays社の電子ペーパー戦略
米Amazon.com社やソニーが電子書籍端末に採用している電子ペーパーの分野で、産業用に特化し、新しい市場を切り開こうとしている企業が台湾にある。Chimeiグループの一員のPervasive Displays社だ。2011年10月26〜28日に横浜で開催された「FPD International 2011」では、産業用途の市場要求に応えた新開発の電子ペーパー・モジュールを披露した。同社を率いるGeneral Manager/FounderのScott Soong氏に、戦略を聞いた。(聞き手は、田中 直樹=Tech-On!)
――産業用の電子ペーパーとして、具体的にどのような用途を狙っているのですか。
棚札やラベルなどの用途です。店舗、工場、交通機関など、活躍の場はたくさんあると見ています。棚札では、価格だけでなく、バーコードや製品情報も表示できます。一般には紙が使われていますが、紙の代わりに電子ペーパーを使えば、人が貼り替えることなく表示内容を変更できます。
電子棚札などにTN液晶パネルが使われている事例もありますが、電子ペーパーの表示はTN液晶よりもきれいです。電子ペーパーのコストは高いと言われていますが、今後は米Amazon.com社の電子書籍端末「Kindle」向けに大量生産されるようになりますので、これが産業用の電子ペーパーの低コスト化を後押しするでしょう。
――棚札やラベルに電子ペーパーを使う取り組みはこれまでにもありましたが、あまり普及していません。
電子ペーパーの事業は、様々な条件がそろわないと成功しません。ここへ来て、その条件がそろってきました。まず、ネットワークやコンピューティングをはじめとするITインフラが整ってきたことが大きいです。大量の情報をネットを介してやり取りすることが当たり前になりました。また、コンテンツのデジタル化の進展も重要な条件です。
電子ペーパーを用いた電子書籍端末が成功したのも、書籍データのデジタル化が進み、さらにインターネットや携帯電話の普及が背景にあります。ネット上でコンテンツを購入したり楽しんだりする光景が、日常化しました。
産業用の市場開拓の機も熟してきたと見ています。「ITを活用して効率化したい」というユーザー・マインドも高まっています。電子ペーパーは、こうした思いに応えることができます。
――どんな用途が考えられるのでしょうか。
例えば、空港で使うことを想定してみます。空港に来た搭乗予定者全員に電子ペーパー端末を配ります。電子ペーパー端末には、搭乗ゲートまでの道のりや集合時間、遅延情報などを表示して、空港利用者の利便性を高めます。利用者が搭乗ゲートまで歩いていく途中で、通路の両端に並ぶ店のキャンペーン情報などを電子ペーパー端末に表示させることで、店の集客にも活用できます。
さらに、電子ペーパー端末にGPS機能を持たせることで、搭乗者の現在位置が把握できます。これは航空会社にとってメリットがあります。搭乗時刻になってもゲート前に来ていない客が今どこにいるのかすぐ分かるため、そうした客を効率よく探してゲートに誘導できます。
このように、利用者、空港、航空会社のすべてにとってメリットのあるサービスといえます。こうしたシステムを空港に売り込む考えです。また、同様のシステムを、製造工場にも応用できないかと考えています。
――ところで、今回、新開発の電子ペーパー・モジュールを「FPD International」で披露しましたね。
新開発の電子ペーパー・モジュールは二つあります。いずれも、凸版印刷の展示ブースに出品しました。
一つは、耐衝撃性や耐傷性を高めた堅牢な電子ペーパー・モジュール「armor」です。ディスプレイ表面に強化ガラスを実装し、衝撃からディスプレイ本体を守るようにしました。製造工場や建設現場のような作業環境下でも、電子ペーパーを簡単に利用できます。
もう一つは、カラー電子ペーパー・モジュール「Beacon」です。エリアカラーとモノカラーの2種類があります。いずれも白と黒の2色以外の色が出せます。エリアカラーは、表示画面内の特定の領域において、注意を促すような色を出せるようにしたものです。モノカラーは、単色のカラー・フィルタと組み合わせることで、3色表示を可能にしたものです。凸版印刷と共同開発しました。反射率30%以上の明るい表示とコントラスト比13:1の高い視認性を確保しながら、3色カラー表示を実現し、アイキャッチ効果と表現力を高めました。カラー・フィルタは赤、青、緑、黄の4種類を用意しています。












