The Tofu Projectの参加者の一部。左から明和電機、代表取締役の土佐 信道氏、シュアールグループの代表、大木 洵人氏、フラッタースケープ、代表取締役社長兼CEOの柿山 丈博氏、マイクロファイナンスのクラブを設立すると目指す三浦 あみ氏、クリスメラ、代表取締役社長の菊永 英里氏、クウーイー、代表取締役の草野 絵美氏
The Tofu Projectの参加者の一部。左から明和電機、代表取締役の土佐 信道氏、シュアールグループの代表、大木 洵人氏、フラッタースケープ、代表取締役社長兼CEOの柿山 丈博氏、マイクロファイナンスのクラブを設立すると目指す三浦 あみ氏、クリスメラ、代表取締役社長の菊永 英里氏、クウーイー、代表取締役の草野 絵美氏
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Rhode Island School of Design、PresidentのJohn Maeda氏
Rhode Island School of Design、PresidentのJohn Maeda氏
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パネル討論会の様子。左からの順番にフラッタースケープの柿山氏、500 Startups社、Founding PartnerのDave McClure氏、チェリオコーポレーション、専務取締役の菅 大介氏
パネル討論会の様子。左からの順番にフラッタースケープの柿山氏、500 Startups社、Founding PartnerのDave McClure氏、チェリオコーポレーション、専務取締役の菅 大介氏
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 2011年10月27日~11月2日、9人の日本の若手起業家とシリコンバレーで活動をしている人物との交流を目的としたツアー「The Tofu Project」(Webサイト)が開催された。「design think」(デザイン中心の考え方)」と呼ばれる、技術とデザインを融合させるシリコンバレーの発想法を、日本の起業家に学んでもらうのが狙いだ。参加した日本の起業家は、米ユーザー体験デザイン企業Adaptive Path社、米Google社や米工業デザイン企業IDEO社、米Pixar Animation Studios社などを訪問した。The Tofu Projectは米国で活動しているジャーナリストの片山理 沙氏と、デザイナー兼フォトグラファーの齋藤 智之氏が中心となって運営しており、米Massachusetts Institute of Technology(MIT)、Media Lab、Directorの伊藤 穣一氏や米Stanford University、U.S.-Asia Technology Management Center, DirectorのRichard B. Dasher氏などがアドバイザーに名を連ねる。

 IDEO社によると、design thinkの基本の発想は、製品開発の際に、技術やコストという要素以外に、実際に人間が使ったときの要望も含めるというもの。米サンフランシスコ市で開催した2011年11月2日のThe Tofu Projectのイベントでは、著名な米デザイン美術大学Rhode Island School of Design、PresidentのJohn Maeda氏が基調講演をした。Maeda氏は、Steve Jobs氏、そして米Apple社が持つデザインやアートに対する発想は、イノベーションを起こす駆動力になると指摘した。「本当のイノベーションを起こすのに必要な発想力を支援するためには、現在米国の教育改革で注力している『STEM』(science-科学, technology-技術, engineering-工学, mathematics-数学)にアートの『A』を加えた、『STEAM』にするべき」(Maeda氏)と話した。

 さらに、シリコンバレーのベンチャー投資家やデザインに注目するベンチャー企業を育てるインキュベーターの米500 Startups社、Founding PartnerのDave McClure氏、パネル討論会でこう話した。「私は起業のプロセスにデザインも重視することは大ファンで、我々の投資哲学の重要な要素だ」(同氏)。日本のベンチャー投資の環境についてMcClure氏は、今まで日本のベンチャー企業2社に投資し、もう1社と話し合っているという。「この3~5年の間に、日本のインターネットや電子コマースを取り巻くビジネス環境にはよい変化が起こっている。日本のインターネット系ビジネスには楽観的な見通しを持っている」(同氏)。

「シリコンバレーで今までの活動を明確にした」

 日本製のユニークな商品を海外に販売するサイト「FlutterScape」を運営するフラッタースケープ、代表取締役社長兼CEOの柿山 丈博氏は、The Tofu Projectに参加した一人の起業家である。design thinkの発想の一つは、ある作業において解決すべき問題を明確化すること。この発想は、今後、投資家に対して自らの商品を30秒という短い時間で売り込む時に役立つという。

 The Tofu Projectを通してもう一つの学んだのは、柿山氏がこれまでやってきたビジネス活動が、実はdesign thinkの発想に基づいていたこと。「私はそれを深く考えずに自然的にやってきたことが、今後は明確なフレームワークを作成できる」(同氏)。