裏蓋を外した状態での比較。左がiPhone 4、右がiPhone 4S
裏蓋を外した状態での比較。左がiPhone 4、右がiPhone 4S
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Liイオン2次電池の比較。iPhone 4Sの電池(右)の方がわずかに幅が狭い
Liイオン2次電池の比較。iPhone 4Sの電池(右)の方がわずかに幅が狭い
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カメラ・モジュールの比較。撮像素子は、左が、iPhone 4が搭載する500万画素の米OmniVision Technologies社製、右が、iPhone 4Sが搭載する800万画素のソニー製。画素数の向上に伴って端子数が増えているのが分かる(写真はすべて中村宏による)
カメラ・モジュールの比較。撮像素子は、左が、iPhone 4が搭載する500万画素の米OmniVision Technologies社製、右が、iPhone 4Sが搭載する800万画素のソニー製。画素数の向上に伴って端子数が増えているのが分かる(写真はすべて中村宏による)
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その1から続く)

 iPhone 4/4Sを分解するには、まず底面の二つのねじを外す必要がある。この段階になって初めて、このねじを外すドライバーを準備していなかったことに気付いた。iPhone 4/4Sでは、安易な分解を防ぐため、ここには星型のねじ穴を持つねじ(トルクス)が使われている。しかし、手持ちのトルクス・ドライバーは大きすぎて、このねじ穴に合うものがなかった。

 本来なら事前に準備しておくべきだった。タブレット端末「iPad 2」の分解時に前面ガラスを破損したときと同じく、準備不足を痛感した(Tech-On!の関連記事)。ただ、このねじを外さない限り分解は進まない。「以前、iPhone 4を分解した際にはマイナス・ドライバーをねじ穴に差し込み、力ずくで無理やり回した」と聞き、同じ方法を試してみることにした。

 まず、iPhone 4でこの方法を試してみたところ、思いの外簡単にねじが外れた。「この分ならiPhone 4Sも楽勝だ」と思ったが、甘かった。マイナス・ドライバーでいくら回そうとしても回らないのだ。回そうとすればするほど、ねじ穴がどんどん削れていく。そうこうしているうちに、何とか少しねじ頭が浮いてきた。そこをペンチでつかんで回すことで、ようやく外すことができた。分解班は1個でギブアップ。2個目のねじは、分解に協力してくれた部品メーカーの技術者に外してもらった。

 外したねじを比べてみたところ、iPhone 4Sのねじの方が青いねじロック剤が多く使われているように見えた。これが理由でねじが固かったようだ。トルクスねじの使用もそうだが、「安易に筐体を開けてほしくない」という米Apple社の意図が感じられた。

 ねじさえ外れれば、裏蓋は簡単に開けられる。裏蓋を外したiPhone 4とiPhone 4Sを並べて置いてみると、内部のコンポーネントの配置はとてもよく似ていた。しかし、どことなく違う印象を受ける。技術者がその理由に気付いた。「電池の幅が違いますね」。

 両機のLiイオン2次電池を取り出してみたところ、iPhone 4Sの電池の方が幅が1mmほど小さくなっていた。容量は5.25Whから5.3Whに向上しているので、厚さが増しているのではないか。そう思ってノギスで測ってみたが、厚さには特に差は見られなかった。電極や電解質の工夫で容量を増やしたのかもしれない。

 電池の幅が狭くなった分、メイン基板の幅は広がっていた。つまり、iPhone 4Sのメイン基板は、iPhone 4のものとは全く違うということだ。カメラ・モジュールが搭載する撮像素子も、500万画素の米OmniVision Technologies社製から800万画素のソニー製に置き換えられている。あまり変化が見られなかったのはスピーカー部くらいで、ほとんどのコンポーネントは“別物”だった。

その3に続く)

■変更履歴
この記事の掲載当初、最後の段落で「カメラ・モジュール」としていましたが、正しくは「カメラ・モジュールが搭載する撮像素子」でした。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。