米Apple社が2011年10月14日に発売した新型スマートフォンが「iPhone 4S」だ。外見は従来製品の「iPhone 4」からほとんど変わっていない。外見の違いは大きく三つ。「黒いスリットの数と位置」「ミュート・スイッチの位置」「背面の認証ロゴ表示の数」である。
黒いスリットは、iPhone 4は上面に1個、側面下部にそれぞれ1個ずつだったのに対し、iPhone 4Sでは上面のスリットがなくなり、側面のスリットが2個ずつになった。4と4Sを簡単に見分けたければ、上面に黒いスリットがあるかどうかを確認すればいい。
iPhone 4Sでは側面上部にも黒いスリットが入ったため、それを避けるようにミュート・スイッチが少しだけ下に移動している。これが原因でiPhone 4Sでは使えなくなったiPhone 4用ケースも多い。ミュート・スイッチ用に開けられた穴の位置が合わないのだ。ミュート・スイッチから二つのボリューム・ボタンまでの位置が大きく切り取られている形状のケースであれば、iPhone 4Sでも問題なく使える。
背面カメラの画素数は、iPhone 4が500万画素なのに対し、iPhone 4Sでは800万画素に向上している。カメラ部も、拡大してみると微妙に形状が変わっていることが分かる。
アプリケーション・プロセサがシングルコアの「A4」からデュアルコアの「A5」に向上したことにより、体感速度は向上している。特に、Webブラウザーの描画は明らかに速くなったと感じた。ただ、iPhone 4のときも「速度が遅くてイライラした」という経験はあまりない。これだけの差でわざわざ買い換えるかどうかは微妙だ。
このように、iPhone 4とiPhone 4Sの外観上の差異はそれほど大きくない。しかし、我々は、あえてiPhone 4とiPhone 4Sを併せて分解して内部を比較検討することにした。両者の外観がそれほど変わっていないということは、逆に言えばiPhone 4Sで変更された搭載部品には、現在のスマートフォン向け電子部品のトレンドやApple社の部品採用に対する考え方が色濃く反映されているはずだと考えたからである。
以降、国内の電子部品メーカー技術者の協力を仰ぎながら進めた、両機の内部分析の様子をお伝えする。
(その2に続く)