「疲労ストレス簡易検査」の検査結果画面
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RFIDを利用した入院病棟用の面会システム
RFIDを利用した入院病棟用の面会システム
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自立・身体動作支援・歩行支援ロボット「HAL」
自立・身体動作支援・歩行支援ロボット「HAL」
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 10月17日、18日の2日間、大阪産業創造館(大阪市中央区)で開催された医療・介護・リハビリ・ヘルスケアに関する展示商談会「メディカル・ヘルスケアテクノロジーフォーラム2011」では、関西地区に拠点を置く地元企業が、デジタルヘルス関連機器やサービスの展示を行った。

 ATR-Promotions(京都府精華町)は、ATR脳活動イメージングセンター(BAIC)での研究支援サービスについて展示した。同社が保有する、高磁場(3T)のfMRI(functional magnetic resonance imaging、機能的磁気共鳴撮影装置) 、 多チャンネル(400ch)のMEG(Magnetoencephalograph、脳磁計)を、病院や大学、研究機関や一般企業などに“時間貸し”するもの。人を被験者とする実験ばかりでなく、MRI・MEG用機器開発にも利用可能だ。

 BAIC事業部研究員の能田由紀子氏は、サービスを開始した背景をこう説明する。「企業の場合、大学や医療機関との共同研究の場合は提携先のfMRIやMEDなどを利用できるが、自社単独の場合はこの方法は使えない。だからと言って、高価な医療機器を購入するのは、負担が大きすぎて現実的ではない。しかしこのサービスならば、中堅中小企業でも高価な医療機器を利用できる」。料金は、例えばfMRIの場合90分で18万9000円から。「実証実験に利用する水準のデータを取得する場合、少なくとも15人程度の被験者が必要なので、料金は250~300万円程度が目安になる」(BAIC事業部研究員の能田由紀子氏)という。

 産業疲労特定健診センター(大阪市淀川区)とNSD(東京都新宿区)は、「疲労ストレス簡易検査」のASPサービスを展示した。これは、指先をセンサーにはさみ、測定した心拍変動から自律神経の状態を解析し、疲労度を可視化するもの。インターネットを利用してリモートでサービスを提供するので、職場で簡易的に検査できる。この簡易検査で異常が認められた場合には、心電計による一次検診、医療機関と連携した二次検診などを実施するという。生産性の低下防止や注意力低下に起因する労災事故などを、未然に防ぐ効果が期待できる。産業疲労特定健診センター参与の倉恒邦比古氏は「交感神経と副交感神経のバランスを評価するもので、検診時間は問診も合わせて10分程度。まずは、運転手や機械などの操縦者、パイロットなどを主な対象として、年内にサービスを立ち上げたい」と語る。

 神栄(神戸市中央区)は、小型で軽量な生体計測器(生体センサー)を試験展示した。RF技術を利用して無線で通信するほか、メモリーを搭載しており、ケーブル接続が不要。心電、心拍、温度、動作などを計測可能で、健康診断や健康管理、在宅介護、運動量計測、遠隔健康監視、睡眠障害の解析、老人・子供の見守りなどに、幅広く利用できるという。

 山電器(大阪府吹田市)は、有機ELを利用したモジュールやiPad用問診システムに加えて、RFIDを利用した入院病棟用の面会システムを展示した。このシステムは、入院患者の個人情報を保護する機能を持つ。訪問時に受付でICカードを受け取り、各部屋の入り口にあるセンサーにかざすと、受付で登録した自分が面会する入院患者名だけが表示される。誤って別の部屋に来てしまった場合は、訪問先の部屋番号が表示される、というものだ。

 大和ハウスは、同社が販売する介護ロボット2点を展示した。1点はメンタルコミットロボットで認知症予防に効果のある「パロ」(開発は産業技術総合研究所)、もう1点は自立・身体動作支援・歩行支援ロボット「HAL」(開発はCYBERDYNE)である。このうちHALについて、同社は5年リース(月額料金約16万円)で販売する形態を採っており、「これまでに、病院や介護施設に100体ほど納入実績がある」(同社ロボット事業推進室課長の今井豊亮氏)という。