図1 「SiRFstarV」を使った位置情報モジュールの構成例。中央の「CSR GSD5XP」がSiRFstarV(図:CSR社の資料)
図1 「SiRFstarV」を使った位置情報モジュールの構成例。中央の「CSR GSD5XP」がSiRFstarV(図:CSR社の資料)
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図2 位置情報LSIおよびその上で動作するファームウエアと、クラウド型サービスの連動で位置情報の取得を高度化する(図:CSR社の資料)
図2 位置情報LSIおよびその上で動作するファームウエアと、クラウド型サービスの連動で位置情報の取得を高度化する(図:CSR社の資料)
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図3 SiRFstarVを使った位置情報モジュールの参照品(写真:CSR社)
図3 SiRFstarVを使った位置情報モジュールの参照品(写真:CSR社)
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図4 カーナビ向けSoC「SiRFprimaII」のブロック図(図:CSR社の資料)
図4 カーナビ向けSoC「SiRFprimaII」のブロック図(図:CSR社の資料)
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図5 SiRFprimaIIを搭載する端末の参照デザイン
図5 SiRFprimaIIを搭載する端末の参照デザイン
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 英CSR社は、GPSなどの衛星測位システム(GNSS:global navigation satellite system)や、無線LANなどの無線通信システム、加速度センサなどの外部センサから取得した情報を用いて、屋内外を問わず正確な位置情報を得られる位置情報LSI「SiRFstarV」を発表した。スマートフォンなどの携帯型端末での利用に向ける。同時に、複数の衛星測位システムに対応する位置情報取得回路を集積するカーナビ向けSoCの新版「SiRFprimaII」を発表した(英文の発表資料)。

 SiRFstarVの特徴は、GPSやGLONASS、Galileoといった各種のGNSSの受信回路だけでなく、位置情報を取得するために無線LAN、Bluetooth Low Energy(BLE)、GSMの受信回路を備えたことである。送信回路は持たない。これらの受信回路によって、「どのMACアドレスの無線LANアクセス・ポイントの電波強度がどのくらいか」「GSMサービスのどの基地局の電波強度がどの程度か」「BLEによってどのような位置情報を受信したか」といった情報を集め、それを基に屋内やビルの谷間などにおける位置情報の精度を高める。CSR社はこれを「スニッフィング(sniffing)」と呼んでいる。

 SiRFstarVはI2Cバス・インタフェースを備えており、加速度、角速度、地磁気、圧力といった各種の外部センサを接続できる。GNSSの信号を取得できなくなってからの移動経路を推定する歩行者用推測航法(pedestrian dead reckoning)などのためである。

 スニッフィングや歩行者用推測航法などの処理は、SiRFstarVに集積したARM9コアで実行する。位置情報の計算のためにホスト・プロセサを利用する必要がないため、継続的に位置情報を取得しても機器の消費電力を低く抑えられる利点がある。

 さらにCSR社は、SiRFstarVによる位置情報の取得を支援するクラウド型サービスを提供する。GNSSの衛星の位置や、無線LANアクセス・ポイントおよびGSMサービスの基地局の位置といった情報を提供する他、歩行者用推測航法などによる位置推定の実績から学習して推定精度を高める機能などを用意する。

 SiRFstarV製品群は、40nm世代の技術で製造する。CSR社は2012年にSiRFstarVの最初の製品を投入する予定である。

カーナビ向けSoCも各種GNSSに対応

 SiRFprimaIIは、最大1GHzで動作するCortex-A9コア、1080pのH.264映像に対応するデコード回路、3次元グラフィックス描画回路「PowerVR SGX531」、オーディオ・コーデック回路、DDR2/3またはLPDDR2インタフェースに対応するメモリ・コントローラ、GNSS受信回路、シリアルATAなどの各種インタフェース回路、ディスプレイ・コントローラなどを集積したSoCである。

 GPSやGLONASS、Galileoといった各種のGNSSに対応する。SiRFprimaIIにはGNSSのベースバンド処理回路を集積しており、RFレシーバIC「TriG RF」と組み合わせて利用する。「SiRFprimaIIのような大規模SoCの場合、デジタル回路に最適化した実装になる。SiRFstarVではRF回路を1チップに集積しているが、SiRFprimaIIではRF回路を外付けにするべきだと判断した」(CSR社)。

 40nm世代の技術で製造し、17mm×17mmのBGAパッケージに収めた。CSR社はSiRFprimaIIとして、産業機械用と自動車用の2品種を用意する。産業機械用の品種を2012年、自動車用の品種を2013年に量産開始する予定である。