「(デジタル・コンテンツの著作権保護方式)UltraViolet
(Tech-On!関連記事)は長い時間をかけて開発された技術である。だが、現在はまだ商用化の初期フェーズに入った段階だ」。2011年10月11日に「Horrible Bosses」と呼ぶ映画を収めたUltraViolet対応のDVD/Blu-rayを発売した米大手スタジオWarner Bros.、Direct to Consumer、Senior Vice President兼Advanced Digital Services、General ManagerのJustin Herz氏は、UltraVioletの現状をこのように指摘した。2011年12月にUltraViolet対応の映画コンテンツを発売する米Sony Pictures Home Entertainment社、Digital Distribution、Senior Vice PresidentのJason Spivak氏も同意した。「今、UltraVioletは種をまくフェーズである」(同氏)。Herz氏とBerger氏は、2011年10月17日~20日に米国ロサンゼルス市で開催した「Digital Hollywood」のUltraViolet関連のパネル会議で言及した。
UltraVioletでは、動画コンテンツのデジタル・ファイル販売を支援するために、消費者が魅力を感じる配信システムを実現することを目指す。「今、(コンテンツ配信Webサービスでは)映画コンテンツのデジタル・ファイルの購入とともに、その1/3の価格でレンタルができるメニューを用意している。一方、我々の業界では、これまでデジタル・ファイルの購入に付加価値を与える努力をしてこなかった」(Sony社のSpivak氏)。
こうした課題を解決するため、UltraVioletでは動画コンテンツにおけるデジタル・コンテンツの権利情報を管理する「digital rights locker」サービスや異なる端末で再生することが可能な「common file format」に対応した配信環境を設けている。この環境を利用すれば、例えばデジタル・ファイルの小売店に限らず、ユーザーが購入したコンテンツのデジタル・ファイルを異なる端末でダウンロードやストリーミングができるようにする。
初期のUltraViolet対応製品にユーザーからの苦情も
今回発売したUltraViolet対応のHorrible Bossesの物理メディアを購入するユーザーは、Warner Bros.社の「Flixster」動画コンテンツ配信Webサービスから同映画をストリームすることができる。パソコン以外にスマートフォンやタブレット端末でもソフトウエア・アプリケーションから再生できる。だが、現在、米Amazon.comで公開されているユーザーのコメントを見る限り、UltraVioletのストリーミング権利をiTunesからダウンロードできることと勘違いしているユーザーが多く、苦情が寄せられている(コメントが公開されているWebサイト)。
ソニーやWarner Bros.社はUltraVioletを管理している団体Digital Entertainment Content Ecosystem(DECE)に参加している。同団体の会員企業でもある米Rovi社、Technology、Vice PresidentのAdam Powers氏によると、2012年のクリスマス商戦ごろにUltraViolet対応のセットトップ・ボックスやテレビなどの端末が少数ではあるが市場に登場すると予測した。「2014~2015年にはこうした端末の30%~40%はUltraVioletに対応するだろう」(同氏)。