タイで発生している洪水により、2011年10月14日にAyutthaya県のBang-Pa-In工業団地が、同17日にPathum Thani県のNava Nakorn工業団地が浸水した。Ayutthaya県のRattana Nakorn工業団地、Rojana工業団地、Banwah(Hi-Tech)工業団地に続くもので、被害が南方へ拡大している(Tech-On!関連記事1同2同3同4同5)。

 Nava Nakorn工業団地は、首都Bangkokの中心部から北方およそ46kmに位置する。同工業団地には、東芝やパナソニック電工、クボタ、カシオ計算機、セイコーインスツル、日本電産、ミネベアなど、多数の日系メーカーが工場を構えている。各社は、同工業団地の浸水前から、周辺河川の水位が上がっていることを受け、従業員の安全のために自主的に操業を停止していたが、同工業団地に直接被害が出たことで、操業再開は大幅な延期を迫られそうだ。

 東芝は、Nava Nakorn工業団地でHDDを製造している。2011年10月17日まで操業を停止し、同18日以降は状況をみて判断するとしていた。カシオ計算機は、同工業団地に腕時計の組み立て工場を持つ。安全面に考慮し、同12日から同18日まで操業停止を決めていた。クボタは同工業団地で耕運機や横形ディーゼルエンジンを製造している。同11日午後から操業停止中という。

 パナソニック電工は、Nava Nakorn工業団地で制御機器や小物家電(ドライヤーなど)を生産していた。2011年10月11日、工業団地から16km離れた河川が氾濫し、当局から退避の指示を受けたという。同日から操業を停止してきたが、今回の浸水被害による停止延長を受け、今後は中国などの周辺地域での代替生産を検討する。