SCEの松本氏
SCEの松本氏
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 2011年9月に開催された「東京ゲームショウ 2011」の基調講演で,今後の事業戦略を発表したソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)。後編ではこの基調講演を受け,2011年12月17日から発売予定の同社の新しい携帯型ゲーム機「PlayStation(PS) Vita(ヴィータ)」と,Android搭載端末向けゲーム配信サービス「PlayStation Suite(PSS)」について,SCE SVP 兼 第2事業部 事業部長の松本吉生氏に話を聞いた。(聞き手は根津禎=日経エレクトロニクス)

――PS Vita は2011年12月17日に日本で発売される。一方,欧米では2012年1月だ。日本で先行発売する理由は?

松本氏:携帯型ゲーム機市場に関しては,日本が(最も)活性化していると判断したからだ。12月17日に発売すれば,クリスマスだけでなく,年明けの「お年玉商戦」にも間に合う。

――欧米でもクリスマスがあり,2012年1月発売だとその商戦を逃すことになるが。

松本氏:確かに欧米でもクリスマス前に発売できた方が理想的だが,PS Vitaの生産量をかんがみて,まずは日本市場を先行させた。例えば米国では,「ブラックフライデー」が大きな商戦となるが,その時期までにまとまった数量を準備するのは難しかった。また,日本市場向けのゲーム・タイトルが揃ったことなど,全体的な最適化を考えて日本市場を先行させた。PS Vita本体と同時に出るゲーム・タイトル(ローンチ・タイトル)の種類は26。これは,従来のゲーム機のなかで,最大のローンチ・タイトル数である。

――なぜ,PS Vitaの発売日と同時に26タイトルも出せるのか。

松本氏:パブリッシャー(ゲームの発売会社)などのモチベーションが高いのが一因だと考えている。例えばPS Vitaが搭載する有機ELパネルの画像は繊細できれいだ。自発光デバイスなのでコントラスト比も高い。このディスプレイ一つとっても,パブリッシャーのモチベーションを高める効果がある。

 また,ゲーム・ソフト開発・提供側へのサポート体制を強化した。ソフトウエア開発キット(SDK)など,PS Vita用ゲームの開発ツールを早くからパブリッシャーなどに提供してきた。提供後,提供先からの意見をフィードバックし,開発ツールを改善してきた。こうした一連のサポート体制が貢献したと考えている。

――PSPとPS Vitaのリモート・プレイの違いは何か。

松本氏:基本的な機能は変わらないが,PSPよりも機能を拡張している。リモート・プレイを利用すれば,PS VitaをPS3のコントローラとして利用できる。PS Vitaはタッチ・パネルや背面タッチ・パッドなど,PS3用コントローラやPSPが備えていないセンサ類を搭載している。PS Vitaによるリモート・プレイで,新たなユーザー体験(UX)を提供できる。

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