開発した生地を使った作業服の試作品。紳士用Mサイズのベストが約4kg、つなぎが約12kg(グンゼのデータ)
開発した生地を使った作業服の試作品。紳士用Mサイズのベストが約4kg、つなぎが約12kg(グンゼのデータ)
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 グンゼは、東邦金属と共同で、ガンマ線を遮蔽するタングステン(W)生地を開発した(ニュースリリース:PDF)。東邦金属のタングステンをなめらかな繊維に加工する技術と、グンゼの繊維事業に関する技術(編む・織る)を組み合わせて開発したという。

 グンゼによれば、現在、放射線防護服には鉛(Pb)板やタングステンを含むゴム板などが使われており、重さや堅さが作業者の負担になっているという。今回開発した生地は、ガンマ線の遮蔽率が10.7%で、重さは4.3kg/m2である。現在使われているとみられる素材に比べ、軽量かつ柔軟で、蒸れにくいとしている。

 遮蔽率は、タングステン板や今回開発の生地を数枚組み合わせるなど、構成の変更により高めることができる。たとえば、0.1mm厚のタングステン板4枚を組み合わせた場合で遮蔽率は25%以上になるとする。重さや動きやすさとのトレードオフになるため、グンゼは今後、こうした生地を使った防護服を必要とする現場から意見を聞きながら実用化を目指すという。

 グンゼが、金属材料が主体となる生地を開発したのは今回が初めてといい、今後は今回の開発技術をベースに、X線を遮蔽する生地なども開発していくとしている。