図1 データと電力を伝送できるモジュールを開発した
図1 データと電力を伝送できるモジュールを開発した
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図2 披露した試作機
図2 披露した試作機
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図3 一般的な「おサイフケータイ」では、電力伝送はできない
図3 一般的な「おサイフケータイ」では、電力伝送はできない
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 NECトーキンは、携帯電話機に搭載されている「FeliCa」用アンテナを使い、データ伝送だけでなく、ワイヤレス給電もできるモジュールを開発した(図1)。幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2011」では、開発したモジュールを組み込んだワイヤレス給電システムの試作機を披露した(図2、3)。

 同社は以前から、近距離無線通信「NFC(near field communication)」のアンテナやモジュール、それらを組み込んだリーダー/ライターなどを手掛けてきた。今回披露した、データだけでなく電力も伝送するアイデアは「NFCを搭載する携帯電話機の機能拡張を検討する中で生まれた」(同社)という。

 電力は、電磁誘導の原理を利用して伝送する。使用する周波数は、データ伝送と同じ13.56MHzである。受電側のコイルは一つで、データと電力で共用する。コイル以外には、データと電力の伝送を制御するスイッチング回路と整流回路を備え、充電回路は携帯電話機に搭載しているものを使用する。送電側モジュールは、電力伝送用に専用のコイルを搭載する。

 NECトーキンの開発品では、携帯電話機側に新たにコイルを設置する必要がないため薄型化が容易で、部材コストの低減が期待できる。「2012年を目標に、実用化に向けて開発を進めていく」(同社)という。