[図1]世界最薄・最軽量の13.3型ノートパソコン「dynabook R631」
[図1]世界最薄・最軽量の13.3型ノートパソコン「dynabook R631」
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[図2]dynabook R631のスケルトンモデル
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[図3]dynabook R631の分解品
[図3]dynabook R631の分解品
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 東芝は、13.3型ノートパソコンとしては世界最薄・最軽量の「dynabook R631」を、2011年10月4日から千葉県・幕張メッセで開催の「CEATEC JAPAN 2011」に展示した(図1)。製品に加えて内部構造の分かるスケルトンモデルや分解品も用意しており、薄型・軽量化のための技術を紹介している(図2、図3)。

 dynabook R631の本体の厚み(突起物を除く最厚部)は15.9mm、質量は約1.12kg。こうした薄型・軽量化を可能としたのが、高密度実装技術と薄型筐体堅牢化技術である。同社説明員によれば、液晶ディスプレイ側の本体の厚みである約4.5mmを除くと、キーボード側の本体で部品を配置できるのは厚さ約11mmの空間。リチウムイオン2次電池と基板を重ねて配置するのは困難だったため、キーボードの下部に基板、パームレストの下部に薄型化に有利な角型セルを用いたリチウムイオン2次電池を配した。電池容量は長時間駆動の機種の67Whと比べると少ないが、47Whを確保しているという。こうした限られたスペースに基板の大きさを抑えるために実施したのが、小型で高さの低い部品を基板の両面に配する高密度実装である。

 薄型になると、ねじれに対する強度向上が求められる。例えば、ディスプレイを開いた状態で、ノートパソコンの手前側の片隅だけ持つユーザーもおり、そうした場合には筐体を対角線を挟んで押し曲げるようなねじれの力がかかるためだ(図1)。この対策として採用したのが、ハニカムリブ構造とハニカム梁構造である。ノートパソコンを閉じたときに液晶ディスプレイと向き合う筐体に適用した。同筐体には、キーボードを載せる部分とパームレストとなる部分がある。キーボードを載せる部分にはハニカム梁構造を、パームレストとなる部分には裏面にハニカムリブ構造を適用する。

 ハニカム梁構造とは、同筐体となる板から6角形状の穴を幾つもくり抜いたような構造だ。従来は井桁状の構造を採用していたが、前述のねじれに強くするために、残す梁の方向を同筐体の対角線方向に近づけた。ハニカムリブ構造は、同筐体の裏面に設けるリブをハニカム状にしたものだ。ハニカム梁構造と同様に、前述のねじれに対する強度が増す。キーボードを載せる部分にハニカムリブ構造を使わなかったのは、厚みに余裕がなかったため。軽量化という点でも、ハニカム梁構造が有利だった。

 この他、CPUやチップセットなど、ボール・グリッド・アレイ(BGA)を用いて実装している部品についてもねじれ対策として、BGAの4隅を支える部位に補強のためのL字形のプレート(Lタイププレート)を配している。BGAは基板と比べて曲がりにくいため、基板にねじれが加わったときにBGAの四隅に大きなストレスがかかる。そうしたストレスに耐えられるようにLタイププレートを設けているという。通常、BGAの補強には、BGAの全面を支える4角形のバックアップ・プレートを配するが、軽量化を考えてLタイププレートを採用している。