TDKのHIMアンテナ。左はVHF HIGH/UHF用、右はFM/VHF LOW用
TDKのHIMアンテナ。左はVHF HIGH/UHF用、右はFM/VHF LOW用
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山形カシオの「安心・安全情報端末」
山形カシオの「安心・安全情報端末」
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山形カシオの「マルチメディア・フォトフレーム」
山形カシオの「マルチメディア・フォトフレーム」
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 2011年7月の地上アナログ・テレビ放送の終了で空いた周波数帯を利用する動きが活発化している。2011年10月4~8日に幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2011」では、アナログ・テレビ放送の1~3チャンネルに相当する「V-LOW」を利用するマルチメディア放送に向けたアンテナや専用端末の試作品が展示されている。

 V-LOWでのマルチメディア放送の実現を目指して設立された「V-LOWマルチメディア放送会社連合」は、2013年9月のサービス開始を想定しているとする。基本的に県域の放送になる。テレマティクスに連動する車載端末向けの「Channel-V」と個人向け端末やデジタル・サイネージを対象にした「Channel-Lo」の二つのチャンネルを提供する構想だという。

 TDKは、セラミックス混合樹脂材料(HIM、hybrid injection material)を利用した、FM/VHF帯マルチメディア放送用内蔵型アンテナを展示した。スマートフォンなどに向ける。高誘電率、低損失の材料を利用することで、小型化を実現したという。

 山形カシオは、2種類のV-LOWマルチメディア放送向け端末の試作品を展示した。まだ放送波の受信機能を持たない動作サンプルである。

 「安心・安全情報端末」は、災害時に有効な情報を伝えることを目的とした情報端末。安価で長時間駆動することを目指しているという。V-LOWマルチメディア放送、FM放送の受信機能を持ち、時計、カレンダー、スケジューラの各機能を搭載。表示は5型の反射型モノクロ液晶パネルで動画には対応しない。単3電池4本で最長72時間駆動が可能だとする。

 「マルチメディア・フォトフレーム」は、通常はフォトフレームや時計として利用し、必要に応じてV-LOWマルチメディア放送を受信するタイプの端末。7型のカラー液晶パネルと抵抗膜式タッチ・パネルを搭載。無線LANを内蔵しており、Webサイトの閲覧もできる。緊急災害発生アラーム機能や高齢者の生活モニター機能も持つ。

 一方、アナログ・テレビ放送の4~12チャンネルに相当する「V-HIGH」の利用も進んでいる。mmbiは2011年10月4日、V-HIGHを利用するマルチメディア放送(モバキャス)で、2012年4月に「NOTTV」というスマートフォン向け放送サービスを開始すると発表した(ニュースリリース)。