図1 「レグザ(REGZA)55X3」と東芝 執行役上席常務 デジタルプロダクツ&サービス社 社長の大角正明氏
図1 「レグザ(REGZA)55X3」と東芝 執行役上席常務 デジタルプロダクツ&サービス社 社長の大角正明氏
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図2 裸眼での3D表示のデモ
図2 裸眼での3D表示のデモ
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図3 4K×2Kパネルの概要
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図4 55X3に導入した超解像処理
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図5 4K×2K映像の配信はNTTぷららが検討開始
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図6 2D映像と3D映像を切り替える仕組み
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図7 55X3に搭載する基板。この基板とは別に通常のテレビ用基板を搭載するという
図7 55X3に搭載する基板。この基板とは別に通常のテレビ用基板を搭載するという
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 東芝は2011年10月3日、3840×2160画素である「4K×2K」の2D映像と裸眼での3D映像の表示に対応した55型の液晶テレビ「レグザ(REGZA)55X3」を発表した(ニュース・リリース)。2010年9月にドイツで開催した「IFA 2011」で披露した製品の国内モデルである(Tech-On!の関連記事)。2011年12月中旬に発売する。価格はオープンであり、市場想定価格は90万円前後。月産で1000台を計画する。

 4K×2K対応のテレビを市場投入する狙いについて、東芝 執行役上席常務でデジタルプロダクツ&サービス社 社長を務める大角正明氏は、「4K×2Kは2K×1K(1920×1080画素)に比べて、はっきりとした違いがある。そこまで必要かという指摘があるのは事実だが、映像としての夢を実現したい」と説明した。裸眼3Dについては、「メガネ式の3Dは映画館はともかく、家庭では無理がある。ストレス・フリーの3D映像を提供したい」とした。

4K映像を作り出す

 55X3の特徴の一つである4K×2K映像は、同社が従来のREGZAシリーズで培ってきた「超解像処理」を用いて、入力映像から疑似的に作り出している。1440×1080画素の地上デジタル放送の映像や720×480画素のDVDの映像などは、1920×1080画素のフルHD映像を作り出した後、このフルHD映像を基に4K×2K映像を作り出すという。4K×2K映像は、左右に2分割しパネルに出力するとした。

 従来機種に導入してきた「再構成型」「自己合同性型」「3次元フレーム」「色」に加えて、新たに「カラーテクスチャー復元」と呼ぶ超解像処理を追加したという。これは、入力映像(4:4:4フォーマット)がデジタル放送信号に変換(4:2:0フォーマット)される際に、失われてしまう高彩度の細かな色情報を疑似的に復元し、物体の質感を向上させたとする。

 なお、「4K×2K映像の配信技術については、(IPTVサービスである)「ひかりTV」を提供するNTTぷららが検討を開始している」(東芝の大角氏)とし、今後の展開に含みを持たせた。

2視差分から9視差分の3D映像に変換


 
 もう一つの特徴である裸眼立体視は、東芝が開発を進める「インテグラル・イメージング方式」を用いた。この方式は,液晶パネル前面に配置するレンチキュラ・レンズを用いる技術である。開発品では、2D映像や2視差分の3D映像から、9視差分の3D映像に変換する。3D表示時の画素数は、1280×720画素とする。

 3D映像と2D映像の表示に対応させるため、液晶パネルとレンチキュラ・レンズの間に、「偏光切換シート」を追加した。このシートは、偏光を90度切り替えられる機能を備えており、レンチキュラ・レンズをオン/オフさせる機能を担う。カメラを用いて、視聴者の位置を特定する「フェイストラッキング」機能を備えており、その場所に最適となるような3D映像を表示するという。

メインのLSIは2個搭載

 裸眼3D対応の4K×2Kパネルは、パネル・メーカーと共同で開発したとする。直下型の白色LEDバックライトを搭載する。入力信号に対して、横12、縦20の領域で白色LEDの発光を調整する機能を備える。

 映像処理プラットフォームには、「レグザエンジンCEVO Duo」を採用する。メインの画像処理LSIを2個搭載する他、「2D映像を3D映像に変換する際に奥行き情報を推定するLSIや、4K×2K映像を2分割して出力するLSIなどを搭載する」(同社の説明員)という。