――前回はこちら――
光送受信モジュールが実装された小型基板に手を伸ばす技術者たち。
と,ここでVAIO Zに採用された光インタフェースについておさらいしたい。VAIO Zの光インタフェース技術は、米Intel社が2009年に公表した「Light Peak」(開発コード名)をベースにしている。
VAIO Zでは、光インタフェースを用いるために、本体とドックの両方に専用部品を搭載する。光インタフェース用制御LSI(以下、制御LSI)と光送受信モジュール、そしてコネクタである。
制御LSIは、光送受信モジュールを活用するためのブリッジLSIとして機能する。例えば、各種の入出力インタフェース回路を備えたLSI(入出力LSI)からのPCI Expressの信号を、光インタフェース用の信号に変換する。光送受信モジュールは、制御LSIからの信号を光電変換して、光信号で送り出す。
この光送受信モジュールが搭載してある小型基板を取り出す(図1)。同基板は、本体の中央部に位置しており、制御LSIと受け側のコネクタ(レセプタクル)は本体側面に実装されている。光送受信モジュールとレセプタクルまでは光ファイバで接続されている。
小型基板を筐体から取り出そうとするが、モジュールから出ている光ファイバが邪魔で、うまく外せない。そこで、レセプタクルが実装されているメイン基板を筐体から外す(図2)。このメイン基板を見て、あることに気が付く。光インタフェースのレセプタクルだけが、フレキシブル基板上に実装されているのだ(図3)。このフレキシブル基板をメイン基板から取り外す(図4)。
これで,光送受信モジュールを搭載した小型基板やレセプタクルなど,光インタフェース用の専用部品だけを取り外すことに成功した。
小型基板の表面を見ると、光送受信モジュールが金属製のソケットに収納されているのが分かる(図5,6)。ソケット表面には,「FOXCONN」の刻印がある。ソケット内にある端子を通じて、光送受信モジュールと電気信号を送受信する。
「あっ、ほとんど同じですねぇ」。ソケットとそのソケットに収納された光送受信モジュールを見て、ある技術者がつぶやいた(図7)。展示会などでIntel社がこれまで公開してきたLight Peak用の光送受信モジュールの試作品と,外観がそっくりなのである(図8)(Tech-On!関連記事)。「実用化に当たり、いろいろと変更したと思ったのだが…」。どうやら想像以上に外観が類似していたため、この技術者は思わず声を上げてしまったようだ。
さて,レセプタクルはどうなっているのだろうか。
――続く――
VAIO Zの分解/分析の詳細は日経エレクトロニクス10月3日号と、(10月7日開催のセミナー)で紹介する予定です