図 Amazon.com社が発表した新しい「Kindle」製品群。左から順に「Kindle Fire」、「Kindle Touch」、「Kindle」
図 Amazon.com社が発表した新しい「Kindle」製品群。左から順に「Kindle Fire」、「Kindle Touch」、「Kindle」
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 米Amazon.com社は米国時間の2011年9月28日に、電子書籍端末「Kindle」の新製品群を発表した(英文の発表資料)。書籍だけでなく映画や音楽、アプリケーション・ソフトウエアといった各種のコンテンツの利用に向けた液晶パネル搭載のタブレット端末「Kindle Fire」を新たに投入し、199米ドルで発売する。電子ペーパー搭載の電子書籍端末では、QWERTYキーボードをなくして最小限のボタンだけを備えた新型「Kindle」、タッチパネル機能を新たに備えた「Kindle Touch」「Kindle Touch 3G」の3機種を発表した。

 Kindle Fireは、7型のタッチパネル機能付きIPS液晶パネルを搭載する。液晶パネルは1064×600画素で、精細度は169ppiである。外形寸法は190mm×120mm×11.4mm、重さは413g。ソフトウエア・プラットフォームは米Google社の「Android」を独自に拡張したもので、Amazon.com社の「Amazon Appstore for Android」からAndroid用アプリケーション・ソフトウエアをダウンロードして利用できる。インターネットへの接続は無線LAN(IEEE802.11b、同g、同n)を通じて行う。内蔵ストレージの容量は8Gバイト。価格は199米ドルで、2011年11月15日に発売する。

 Amazon.com社はKindle Fireを、「映画やテレビ番組など10万本以上の動画、1700万曲以上の楽曲、100万冊以上の書籍、数百の雑誌や新聞、ポピュラーなAndroidアプリといったAmazon.comのデジタル・コンテンツをユーザーの指先に届ける」と表現する。これらのコンテンツ配信サービスを利用する操作画面や、コンテンツ再生アプリをKindle Fireに搭載した。

 Kindle Fireのユーザーは、Amazon.comのコンテンツを保管できるクラウド型ストレージ・サービスを無料で利用できる。さらに同社はKindle Fireの投入に合わせて、KindleシリーズやKindleアプリ搭載端末の間で最終表示ページやメモ、しおりなどの情報を同期する「Whispersync」技術を動画にも対応させることを明らかにした。

Amazonのサーバーが処理の一部を肩代わりするWebブラウザー

 Amazon.com社はKindle Fireに、「Amazon Silk」と呼ぶWebブラウザーを搭載した(英文の発表資料)。同社のクラウド・コンピューティング・サービス「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」上の仮想サーバーで動作させるソフトウエアと処理を分担することで、Webサイトを快適に閲覧できるようにするものである。要求先のWebサーバーとの通信処理の一部や、次に要求される可能性が高いWebページの先読み、モバイル端末での閲覧に適したコンテンツの最適化などをサーバー側が担うという。

 新型Kindleは、6型で600×800画素のE Ink社製電子ペーパーを採用した電子書籍端末。外形寸法は166mm×114mm×8.7mmで、重さは170g。文字入力用のQWERTYキーボードを搭載せずに最小限のボタンだけにとどめることなどで小型・軽量化を実現した。広告をスクリーン・セーバーなどとして表示するモデルを79米ドル、広告なしモデルを109米ドルで販売する。

 Kindle TouchおよびKindle Touch 3Gは、新型Kindleと同じ6型で600×800画素の電子ペーパーを採用した端末で、タッチパネル入力機能を新たに備えた。これにより、ディスプレイの右側や左側に触れることでページをめくる、ソフトウエア・キーボードで文字を入力する、手書きのメモを書き込む、書籍内の単語を選択して内蔵の辞書で意味を調べる、といった使い方を可能にした。外形寸法は172mm×120mm×10.1mmで、重さは213g(3Gは220g)である。Kindle Touchは広告付きモデルが99米ドル、広告なしモデルが139米ドル、無料で3G通信サービスを利用できるKindle Touch 3Gは広告付きモデルが149米ドル、広告なしモデルが189米ドルである。