SNS大手の米Facebook社は、同社のWebサイトにユーザーの行動の履歴を表示する「Timeline」という機能を追加することを発表した(同社のブログ記事その1、その2)。2011年9月22日に米サンフランシスコ市で開催した同社の開発者向けのイベント「f8」で明らかにした。基調講演で、同社 CEOのMark Zuckerberg氏は「Timelineにより、ユーザーにとって重要な出来事を時間とともに簡単に表示できる」と宣言した。
業界で「ライフログ」と呼ばれる、ユーザーが作成した写真やノートなどの履歴情報を簡単にまとめて表示できる技術を長期間かけて研究開発することで実現した。業界では、ユーザーが頻繁に利用するSNSのFacebook社に、こうした機能を追加することは自然な流れとの評価がある。
Timelineでは、ユーザーの好みなどの情報を組み込むプロファイル・ページに、写真やコメントなどの情報を時間とともに表示するタイムライン機能を追加する。Timelineには、ユーザーが公開する情報をシステムが「重要」と評価した項目に絞る機能がある。ユーザーは、自分の履歴から写真などの情報を追加することもできる。Timelineの機能は、今後「数週間」(Facebook社)で一部のユーザーが利用できるようにする予定である。
メディア関連のアプリにも追加が可能
Timelineには、ユーザーが作成した情報以外に、ユーザーが選択した第三者が開発したWebアプリケーション(アプリ)から発生する情報を追加できる機能もある。第三者のアプリ開発のために、Facebook社は「Open Graph」と呼ぶ開発環境を公開した。
F8で公開したOpen Graph対応アプリの例では、音楽や動画、ニュースなどのメディア関連のアプリが多かった。例えば、オンラインの音楽配信サービスを手掛けている英Spotify社は、FacebookのTimeline機能向けのアプリを用意した。このアプリでは、Spotify社のパソコン・アプリでユーザーが再生した音楽情報をTimelineに公開する。ユーザーの知り合いと最近共有した情報を表示する「News Feed」や「Ticker」の機能にも表示できる。これによって、ユーザーの知り合いがユーザーが再生した楽曲の情報を見て、興味があればそれをクリックする。知り合いがSpotifyのユーザーなら、その楽曲も再生できる。
Spotify社以外にオンライン動画配信サービスの米Hulu社や米Netflix社のTimeline向けアプリも紹介された。これらも、ユーザーが再生した動画コンテンツを公開して、知り合いが動画を再生するといった機能がある。Netflix社、Founder兼Chairman、CEOのReed Hastings氏も基調講演の壇上に登り、「我々が開発したアルゴリズムでコンテンツを推薦する技術より、こうしたソーシャル的な推薦の方が効果的な場合がある」と語った。