図1 登壇する任天堂の岩田氏
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図2 「モンスターハンター3(トライ)G」を発表
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図3 モンスターハンター・シリーズのプロデューサーである、カプコンの辻本良三氏が登壇
図3 モンスターハンター・シリーズのプロデューサーである、カプコンの辻本良三氏が登壇
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図4 ニンテンドー3DS専用拡張スライドパッド
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図5 ニンテンドー3DS専用拡張スライドパッドを3DSに取り付けた場合
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図6 3DS本体の機能更新などを行う
図6 3DS本体の機能更新などを行う
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図7 新色の「ミスティピンク」
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図8 男性ユーザーと女性ユーザーの割合。上からWii,DS,3DSとなっている。
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 任天堂は2011年9月13日、東京ビッグサイトで「ニンテンドー3DSカンファレンス 2011」を開催した。この中で同社取締役社長の岩田聡氏が登壇し、携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」に関する今後の事業戦略を発表した(図1)。現在3DSは、発売当初の目標と比較すると販売台数が伸び悩んでいる(Tech-On!関連記事1)。そのため、任天堂は2011年8月から3DS本体の希望小売価格を1万円値下げしたばかり(同2)。それだけに同社の3DS事業のてこ入れ策について注目が集まった。

 発表会では、新作ゲーム・ソフトの紹介や3DS本体の機能強化、新色機種などを紹介。中でも、今後発売予定として発表された新作ゲーム・ソフトのタイトル数は20以上と、「過去にないくらい充実したラインナップ」(岩田氏)と意気込んだ。

 発売するソフトはいずれも人気シリーズの最新作がほとんど。例えば任天堂からは「スーパーマリオ 3Dランド」が2011年11月3日、「マリオカート7」が同年12月1日に発売される。同社以外からも、2011年末から2012年にかけて、多数の対応ソフトが発売される予定だ。

 中でも時間を割いて紹介されたのが、カプコンが2011年12月10日に発売予定の「モンスターハンター3(トライ)G」である(図2)。モンスターハンター・シリーズは人気のアクション・ゲームで、2010年12月にPSP向けに発売された「モンスターハンターポータブル 3rd」は、400万本以上を売り上げるなど大ヒットした(Tech-On!関連記事3)。PSP本体の売り上げもけん引し、2010年末~2011年初めにかけて、一時期、PSP本体が店頭からいっせいに消えたこともあるほどだ。

 モンスターハンター・シリーズのゲーム・ソフトは,任天堂の据置型ゲーム機「Wii」には発売済みだが,携帯型ゲーム機向けに発売されるのは今回が初めて。それだけに、3DSの販売不振にあえぐ任天堂にとって、モンスターハンター3Gへの期待は大きい。実際同ソフトに対して任天堂は“破格”の扱いである。発表会ではモンスターハンター・シリーズのプロデューサーである、カプコンの辻本良三氏が登壇(図3)。約1時間と限られた発表会の中で、新作ソフトの中では最も多くの時間を割いて紹介された。

 加えて、モンスターハンター3Gの発売日と同じ日に、新たな周辺機器を任天堂が発売する。3DSに取り付けることで、スライドパッドとボタンが追加できる「ニンテンドー3DS専用拡張スライドパッド」である(図4、5)。これにより、スライドパッドが左右一個ずつ、計2個になる。つまり、両手でスライドパッドを使いゲームを楽しめるようになるわけだ。希望小売価格は1500円である。

 専用拡張スライドパッドは主に、モンスターハンター3Gといった高い操作性を求める、対応アクション・ゲームに向けたもの。モンスターハンター3Gと同時に発売するとあって、「モンスターハンター3Gのために開発したのではないか」(ゲーム業界関係者)と見る向きが多い。また発表会最後には、3DS向けに開発中の最新作「モンスターハンター4」のムービーを初めて公開するなど、“サプライズ”を披露した。

3D動画の撮影機能などを追加


発表会では、今後行う予定の3DS本体の更新による機能強化などについても説明した。3D動画の撮影機能の追加や、すれちがい通信によってアバター「Mii」同士の情報交換などを楽しめる「すれ違いMii広場」の強化、オンラインストア「ニンテンドーeショップ」の改善などを行う予定である(図6)。具体的な内容やサービス開始時期などは後日公表するとした。

 3DSの新色として「ミスティピンク」も2011年10月20日から発売する(図7)。これは女性ユーザーの獲得を目指したもの。従来の任天堂のゲーム機と比較して、3DSは男性ユーザーの割合が大きく、女性ユーザーの比率が小さいからだ(図8)。従来機では男性と女性、ほぼ半々の割合だという。このため、女性が好むカラーを準備し、女性比率の向上を図る。このほか、女性ユーザーに人気のゲーム・ソフト「わがままファッション ガールズモード」の続編「GIRLS MODE(仮称)」を2012年に発売することを明らかにした。

国内目標は達成しそうだが…


 今回の発表を見た、ゲーム業界に詳しいあるアナリストは、「2011年11月上旬から2012年1月ごろにかけて、国内では3DSは100万~150万台ほど売れると考えている。このため、国内市場は問題がないだろう」とみる。

 ただし、海外戦略に関しては不透明な部分が残るという。理由の一つとして、「今回発表されるゲーム・タイトルが海外でも売れるかどうか分からないから」(前出のアナリスト)である。前述したモンスターハンター・シリーズも、海外市場では「日本市場ほど勢いはない」(同)のが現実だ。今回の発表会は日本で開催されただけに、日本市場にフォーカスした内容である。クリスマス・シーズンを前に、任天堂の海外戦略にさらに注目が集まりそうだ。